2005 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質局所回路研究のプラットフォームとなるラットの作成とその解析
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17650096
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
川口 泰雄 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授 (40169694)
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Keywords | 抑制性ニューロン / 介在ニューロン / GABA / vesicular GABA transporter / Venus / BAC transgenic / ラット / 大脳皮質 |
Research Abstract |
多様な大脳皮質介在ニューロンの構成・シナプス結合ルールに関して統一的な理解を進めるために、どの細胞からも容易に生理的記録ができるモデル動物の開発を目指した。本年度は、群馬大学の柳川教授と共同でbacterial artificial chromosome (BAC)ライブラリを使い、vesicular GABA transporter(VGAT)遺伝子を含むBACを用意し、これをもとにVenus標識ラット作成を試みた。約400個のラット受精卵にlinearized BAC DNAを注入し、生存胚を移植出産させた。生まれた仔がVenusを発現しているかどうかPCRで調べたところ、2匹で発現していた。これらを繁殖させて二系統のVenus-VGAT(VVGAT)トランスジェニックラット(A系統、B系統)を得ることができ、それらの受精卵・精子を凍結保存した。PCRで発現を確認したラットを潅流固定し切片作成し、Venusの発現パターン及びそれらでのGABA発現を免疫組織化学で調べた。脳の領域によって、両系統ともGABA細胞に選択的にVenusを発現している場合、片方の系統だけが、選択的に陽性で、もう一方が非選択的に非GABA性細胞にも出ている場合があった。大脳皮質ではA系統でGABA陽性細胞とVenus陽性細胞がほぼ完全に一致しており、B系統では、GABA細胞のほぼ95%近くがVenus陽性であった。線条体のGABA作働性ニューロンのほとんどが両系統で陽性であった。海馬ではA系統でGABA性と考えられる非錐体細胞が選択的に染まっているのに対して、B系統ではそれらに加えて、CA1の錐体細胞が陽性であった。視床ではB系統でGABA性の網様核だけが特異的に発色していたが、A系統では中継核の細胞も陽性であった。小脳皮質のGABA介在ニューロンはどちらの系統でも陽性であった。
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