2006 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質局所回路研究のプラットフォームとなるラットの作成とその解析
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17650096
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
川口 泰雄 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授 (40169694)
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Keywords | GABA / 遺伝子改変ラット / 小胞型GABAトランスポーター / Bacterial artificial chromosome / 大脳皮質 / パルブアルレブミン / ソマトスタチン / アクチニン |
Research Abstract |
多様な大脳皮質GABA作働性介在ニューロンの構成・シナプス結合ルールに関して統一的な理解を進めるために、どのGABA細胞からも容易に生理的記録ができるモデル動物の開発を目指している。昨年度、群馬大学の柳川教授と共同で、vesicular GABA transporter遺伝子を含むbacterial artificial chromosomeを使って、黄緑色の蛍光蛋白質VenusでGABA細胞が選択的に標識されたWistarラットを二系統(A系統、B系統)作成することができた。本年度は、この遺伝子改変ラットの大脳皮質で、GABA細胞の選択的マーカーが野生型と同じく発現しているかどうか、また、このラットの利点を生かして、特異的マーカーを発現するサブタイプのGABA細胞全体における割合を求めた。そこで、パルブアルブミン、ソマトスタチン、VIP、コレシストキニン、カルレチニン、アルファーアクチニン-2という、GABA細胞に対する化学的マーカー6種類の発現様式を定量的に調べた。A系統では6種類すべてでマーカーを強く発現する細胞はVenus陽性であったのに対してB系統ではVIP、コレシストキニン、カルレチニン、アルファ-アクチニン-2のごく一部の細胞が、Venusを発現していなかった。これは、A系統ではほぼ完全にVenus陽性細胞とGABA陽性細胞が重なっていたのに対して、B系統ではGABA細胞のうち約95%がVenusを発現していたことに一致する。以前に解析したアルファ-アクチニン-2を除く5種類のマーカーの共存関係と、今回新たに調べたアルファ-アクチニン-2との共存関係を考慮に入れ、A系統でのVenus陽性細胞の中での各サブタイプの発現割合をみると、この6種類のマーカーで1層、2・3層、5層では9割以上、6層では9割近くのGABA細胞をカバーできることがわかった。
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Research Products
(3 results)