2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17650101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船橋 新太郎 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (00145830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久代 恵介 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (60361599)
清水 慶子 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90135616)
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Keywords | 前頭連合野 / ドーパミン / 注意障害 / 多動 / 注意欠陥 / 多動性障害 / ADHD / 6-OHDA |
Research Abstract |
注意欠陥/多動性障害(ADHD)、前頭連合野の機能異常、ドーパミン(DA)調節系の変化との間に密接な関係のあることが示されている。そこで、発達初期に前頭連合野で生じたDA調節系の変化がADHDの生物学的要因であると仮定し、これを検証するため、DAの阻害剤である6-OHDAの注入により前頭連合野背側部のDA系を破壊した新生児サルを用い、このようなサルがADHD児に見られる行動特徴(多動、集中力不足、衝動性、気分の易変性、落ち着きのなさ、無秩序性など)に類似した行動変化を示すかどうかを解析した。自発行動において多動傾向が観察されるかどうかを検討するため、ホームケージ内と小型のテストケージ内での行動量を測定したところ、対照群の無処置サルと比較して、6-OHDAの注入により前頭連合野のDA系を破壊したサルでは、明らかに行動量の増加が観察された。後者のサルでは、ケージ内での激しい回転運動が連続して観察されたが、前者のサルではこのような行動は観察されなかった。また、ヒトのADHD児の治療薬として広く使用されているメチルフェニデート(MPD)の投与により行動変化が見られるかどうかを調べたところ、後者のサルでは1.5mg/kg(体重)の経口投与により行動量の減少傾向が観察され、また行動量の減少傾向が1日程度持続することが観察された。このように、6-OHDAの注入により前頭連合野のDA系を破壊したサルで多動傾向は観察された。次の課題として、注意障害や衝動性がこのようなサルで観察されるかどうかの確認が必要である。
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