2005 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ腫瘍幹細胞の脳内環境における分化・増殖能と浸潤パターン
Project/Area Number |
17650102
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 徹 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (40221098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 諭 九州大学, 医学研究院, 助教授 (90294917)
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Keywords | グリオーマ / 腫瘍幹細胞 / 浸潤 / 増殖 |
Research Abstract |
1)ラットグリオーマ細胞株からの腫瘍幹細胞の調整とin vitroにおける幹細胞としての特性の検討 i) Green fluorescent protein (GFP)を安定的に発現するラットグリオーマ細胞株C6を神経幹細胞の培養条件下(DMEM/F12+N2-supphlient+FGF+EGF)で培養し、浮遊状態のtumor spheroidを形成させ、細胞株中に含まれる幹細胞の性質を持つ少数の腫瘍細胞を選択的に増殖させることができた。 ii)生成したSpheroidを接着基質上で成長因子を除いた条件で分化させ、各種神経系の分化マーカーに対する免疫染色を行ったところ、元の細胞株ではみられなかった04(オリゴデンドロサイト前駆細胞のマーカー)やNeurofilament(成熟したニューロンのマーカー)の発現がみられ、この手法により選択された細胞が多分化能を有していることが示された。 2)グリオーマ腫瘍幹細胞のラット脳への移植 得られたspheroidあるいは元の細胞株を分散し、成獣ラット大脳基底核に5,000個の細胞を移植し、一ヶ月後にパラホルムアルデヒドで灌流固定後脳の組織切片を作成し、腫瘍細胞の分布を比較した。両者とも旺盛な腫瘍性増殖を示したが、元の細胞株が境界鮮明な腫瘍塊を形成し、腫瘍細胞の浸潤は血管周囲に限られたのに対し、spheroid由来の細胞は脳実質に盛んな浸潤能を示した。後者はヒトグリオーマ組織における腫瘍細胞の浸潤パターンにより近く、グリオーマの浸潤モデルとして有用であると考えられた。残りの研究期間ではこの実績に基づき、更にspheroid由来の細胞を異なる発生段階の異なる部位に移植し、正常神経系前駆細胞の移動様式との比較の上で、グリオーマにおける組織の成り立ちと腫瘍幹細胞との関係を考察する予定である。
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