2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17650109
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仲嶋 一範 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90280734)
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Keywords | 抑制性神経細胞 / 大脳皮質 / 基底核原基 / 尾側細胞移動経路 / 海馬 |
Research Abstract |
大脳皮質の抑制性神経細胞は、腹側の基底核原基(ganglionic eminence)で誕生し、"脳表面に平行に"移動して皮質に進入することが知られている。基底核原基に関しては、内側部(medial ganglionic eminence,MGE)、外側部(lateral GE, LGE)、尾側部(caudal GE,CGE)の3領域に分類される。抑制性神経細胞は主としてMGEに由来し、"脳表面に平行に"移動するとされているが、その三次元的経路は不明であった。そこで我々は、まずは、脳内の任意の局所部位に由来する移動細胞のみに特異的に遺伝子導入し可視化する新たな実験系を確立した。この系を用いて、各部位に特異的に遺伝子導入し、その後それぞれの部位に由来する細胞の挙動を観察した。その結果、MGE由来の細胞は外側に向かった後さらに背側に向かって皮質全体に広く分布するのに対し、CGE由来の細胞はむしろ一気に尾側に向かって移動するものが主であることを見いだした。後者はその後海馬に到達し、その部位における抑制性神経細胞に分化していくことがわかった。この後者の移動経路は従来報告がないため、尾側細胞移動経路caudal migratory stream(CMS)と命名した(Yozu et al.,J.Neurosci.2005)。さらに、移植実験により、少なくとも胎生13.5日(E13.5)までにMGE由来移動細胞とCGE由来移動細胞の性質が細胞内在的に異なっていること、MGEの細胞が外側に広く移動するためにはE13.5のMGE特異的環境は必要ではなく、一方CGEの細胞が尾側に向かって移動するためにはE13.5のCGE特異的環境が必須であることが明らかになった。
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Research Products
(10 results)