2005 Fiscal Year Annual Research Report
難治性慢性疼痛時のミクログリアにおけるP2×4受容体発現増強分子の同定
Project/Area Number |
17650111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津田 誠 九州大学, 大学院薬学研究院, 助手 (40373394)
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Keywords | P2X4受容体 / ミクログリア / フィブロネクチン / 神経因性疼痛 / アロディニア |
Research Abstract |
難治性疼痛動物モデルの脊髄後角において,P2X_4受容体の発現がミクログリアで著明に増加し,同受容体の遮断が異常痛覚アロディニアを抑制することから,その発症にミクログリアにおけるP2X_4受容体の発現増加が重要なステップであることを以前の研究で示した.その知見を基に,ミクログリアにおけるP2X_4発現制御分子を初代培養ミクログリア細胞で探索し,細胞外マトリックス分子であるフィブロネクチンをその候補として見出したので研究成果を報告する.初代培養ミクログリア細胞をフィブロネクチン10ug/mLで処置することで,P2X_4受容体のmRNA(定量的リアルタイムRT-PCR法)およびタンパク質レベル(ウエスタンブロッティング法)が増加した.その効果は,フィブロネクチンの濃度および処置時間依存的であった.P2X_4受容体タンパク質の増加は単一細胞レベルでも確認された.機能的P2X_4受容体の発現レベルを検討するため,細胞内カルシウムイメージング法により解析したところ,ATP50uMによって誘発されるカルシウム応答の増大が検出され,その増加はP2X_4受容体の遮断により消失した.フィブロネクチンによりP2X_4受容体の発現が増加したミクログリアを,低濃度のATPで刺激し,その後正常ラットの脊髄くも膜腔内へ注入することで,コントロールのミクログリアの注入では出現しない有意なアロディニア反応が認められた.以上,本年度の結果から,フィブロネクチンがP2X_4受容体の発現増強にかかわる因子として重要な役割を担っている可能性を示唆した.
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Research Products
(1 results)