2005 Fiscal Year Annual Research Report
PLC活性のリアルタイム測定法を用いた細胞内シグナルのクロストークの解析
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17650112
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
少作 隆子 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60179025)
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Keywords | ホスホリパーゼC / TRPC6チャネル / カルシウムイオン / 細胞内シグナル / クロストーク / 海馬ニューロン / 代謝型グルタミン酸受容体 / ムスカリン受容体 |
Research Abstract |
1.細胞内シグナル伝達系間のクロストークに関しては、1個の細胞内のシグナル伝達の大きさをリアルタイムでモニターすることが困難なため、不明の点が多い。本研究では、ホスホリパーゼC(PLC)産物DAGにより活性化されるチャネル(TRPC6チャネル)を培養海馬ニューロンに強制発現させ、PLC活性をリアルタイムでモニターすることを試みた。また、この方法を用い、受容体-PLCβシグナル伝達系が他のシグナル伝達系によりどのような影響を受けるのかを調べた。 2.膜透過型DAGアナログであるOAGを投与すると、TRPC6チャネルを強制発現したニューロンでのみ大きな内向き電流が誘導された。したがって、TRPC6チャネルはニューロン内で正常に機能していることが確かめられた。 3.PLCに共役している受容体(group I代謝型グルタミン酸受容体、M_1/M_3ムスカリン受容体)のアゴニストを投与すると、大きなTRPC6チャネル電流が観察された。この電流は、PLC阻害剤U73122処理により消失した。したがって、このTRPC6チャネル電流はPLC活性を反映していることが確かめられた。 4.アゴニスト投与により誘導されるTRPC6チャネル電流は、PLCβ1欠損マウスの海馬ニューロンでは消失していた。したがって、アゴニスト投与により誘導されるTRPC6チャネル電流はPLCβ1活性を反映していると考えられた。 5.アゴニスト投与によるTRPC6チャネル電流を、さまざまな細胞内Ca^<2+>濃度で調べたところ、Ca^<2+>濃度が高いほど大きな電流が誘導された。したがって、受容体を介するPLCβ1の活性化は細胞内Ca^<2+>濃度に強く依存していることが判明した。 6.以上より、受容体-G蛋白-PLCβシグナル伝達系は、細胞内Ca^<2+>濃度を変化させる他のシグナル伝達系の影響を強く受けることが予想された。
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