2006 Fiscal Year Annual Research Report
無菌動物技術を用いた大豆イソフラボン類の保健効果におけるヒト腸内菌叢の役割の解明
Project/Area Number |
17650118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平山 和宏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (60208858)
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Keywords | 腸内菌叢 / 大豆イソフラボン類 / 腸内代謝 / 無菌マウス / ゲニステイン / ダイゼイン / イコール |
Research Abstract |
大豆インフラボン類は腸内細菌の働きにより様々に代謝されるが、その代謝には大きな個体差がある。例えばダイゼインの代謝産物のひとつであるイコールはダイゼインやゲニステインよりも生理活性が強いが、イコールを活発に産生する個体としない個体があることがわかっている。本研究では平成17年度において、複数の個人から繰り返し糞便試料を採取してその大豆インフラボン類代謝活性を測定し、各種大豆インフラボンに対する代謝活性のパターンには個人によって特徴があり、その特徴は同一個体では安定していることを明らかにした。平成18年度には、これらの成果を基にし、特徴のある大豆インフラボン類代謝活性を持ったヒト糞便を無菌マウスに投与することにより、ゲニステインやダイゼインを代謝してイコールを産生する、ゲニステインやダイゼインを代謝するがイコールを産生しない、大豆インフラボン類に対してほとんど代謝活性を持たない、などの特徴のある代謝活性を持ったヒトフローラ定着(HEA)マウス群を確立することに成功した。これらのHFAマウス群は腸内菌叢による大豆インフラボン類の代謝の違いが生体におよぼす影響をin vivoで研究するための有用なモデルとなることが期待される。さらにイコールを産生するヒト腸内菌あるいは菌群を特定するため、各HFAマウス群の腸内菌叢構成を解析したが、イコールを産生するHFAマウスに特徴的な菌叢構成は特定できなかった。そこで、イコール産生HFAマウスの糞便を階段希釈してダイゼインと反応させたが、10^<-4>希釈ですでにイコール産生能はほとんど失われ、イコール産生菌(群)は比較的低い菌数で存在していることが示唆された。このことは、イコール産生菌(群)を特定し、分離・同定することが困難であることを示している。現在、各種抗生物質を含有する培地や異なる培養条件を用いてイコール産生菌(群)の特定を試みている。
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