2005 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質の流動性制御による高感度免疫診断チップの創製
Project/Area Number |
17650128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高井 まどか 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (40287975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
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Keywords | リン脂質 / 免疫診断 / バイオチップ / 高感度分析 / 生体適合性ポリマー / バイオ分子固定化表面 |
Research Abstract |
今年度は、免疫診断用チップの基板開発を中心に行った。高感度なEnzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)システムを実現し、マイクロチップでの高感度測定を目的とした。非特異的な二次抗体の吸着反応によって誘起されるノイズを低減させ、特異的シグナルを増加させる目的でリン脂質ポリマー(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine(MPC))に、活性エステル基を介して抗体を固定化させることのできる新規リン脂質ポリマーを合成した。合成したポリマーは、poly[MPC-co-n-butylmethacrylate(BMA)-co-p-nitrophenyloxycarbonyl poly(ethylene glycol)methacrylate(MEONP)]:PMBNである。PMBNを使用してELISAを行った場合と、基板に直接抗体を固定化させた後ブロッキング剤としてBSAを使用した場合とを、96wellタイタープレートを用いて比較検討し、リン脂質の有効性を検討した。PMBNを用いた場合は、非特異的なシグナルが減少し、表面に配向したホスホリルコリン(PC)基の作用によって二次抗体の非特異吸着を抑制していることが分かった。しかし、抗体固定化量が少ないためか、特異的シグナルが通常の固定化法と比べて1/5程度に減少してしまう結果となった。一方、抗体固定化後の安定性を比較したところ、PMBNを使用した場合は、抗体の安定性が向上することが確かめられた。これは固定化された抗体近傍にPC基が存在したことにより、抗体活性の低下が抑制されたためと考えられる。 免疫診断チップのデザイン設計を行うため、PDMSを用いてマイクロ流路を構築した。今回は、マイクロ流路内における抗体の固定化面積を変化させて実験を行った。反応面積が小さいと、吸光度測定においては感度の低下が顕著に起こり、低濃度領域における高感度測定が難しいことがわかった。そこで、発光色素であるLuminolを用いることでこの問題点を回避し、発光量の経時変化を測定することで定量化を試みた。ここでは、予備実験として通常の固定化方法を用いてELISAを行った。結果、タイタープレートでの実験と比較し、測定時間がこれまでの約4時間から約40分に短縮することが可能となった。
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