2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の力学的適応を利用した荷重支持構造物の自発的創成
Project/Area Number |
17650135
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 健郎 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (30209639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長山 和亮 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 助手 (10359763)
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Keywords | バイオメカニクス / 細胞力学 / 力学応答 / 繰返引張 / 力学的刺激 |
Research Abstract |
生物の有する力学的最適性を有する形作りの性質をものづくりに応用できないかと考え,2年間の研究を進めた.初年度は平面培養した細胞について力学刺激と配向性の関係を調べた.2年目の本年度はゲル内に包埋した細胞に対して力学刺激と配向の関係を調べた. 1)現有する細胞伸展負荷装置で細胞を混和したゲルに繰返引張・繰返圧縮が加えられるようにチャンバを改造した.すなわち,通常のチャンバ内にゲルを流し込み固めたものに繰返引張を加えると,ゲルがチャンバ内面から剥離する.これを防止するため,チャンバ内側両端面に微細なケバをつけ,このケバをアンカーとすることでゲルの剥離を防止した.また,チャンバに引張を加えた状態でゲルを流し込み固め,チャンバを除荷して弾性回復させることで予め圧縮が加わった状態のゲルを作製した.このチャンバに繰返引張を加えることで,ゲルに繰返圧縮を負荷した. 2)体内でも3次元的環境下で力学負荷に曝されている細胞として骨芽細胞様細胞と血管平滑筋細胞を対象とした.細胞をコラーゲンゲル溶液に混和して1)で作製したチャンバ内に流し込み固化させ,繰返圧縮・繰返引張を24〜72時間程度加え,細胞全体の配向状態ならびに個々の細胞の形態を共焦点レーザ顕微鏡を用い3次元的に詳しく観察した.その結果,骨芽細胞用細胞は,繰返引張により引張方向に配向するのに対し,繰返圧縮では圧縮方向に直交する方向に配向することが判った.また,平面培養では引張と直交する方向に配向する平滑筋細胞も3次元培養下では引張方向に配向することが判った. これらの結果を通じて,細胞を力学刺激に応じて配向させ得ることが明らかとなり,力学環境の変化に応じて適応的に変化する構造物創成の可能性が確認できた.
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