2005 Fiscal Year Annual Research Report
キメラプロテインによる中枢神経再生ニッシェの分子設計
Project/Area Number |
17650137
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 功一 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (50283875)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
|
Keywords | 中枢神経 / 再生医療 / 細胞外マトリックス / キメラプロテイン / 細胞アレイ / 神経成長因子 / 自己組織化単分子膜 / 神経幹細胞 |
Research Abstract |
中枢神経の再生のための人工ニッシェを構築するため、その構成成分として、細胞外基質(ECM)や人工基材表面に結合できるドメイン、および、細胞の機能制御に働く機能ドメインからなるキメラプロテインをデザインした。まず、オリゴヒスチジンおよび上皮細胞細胞増殖因子(EGF)から構成されるキメラプロテインを大腸菌発現系を利用して調製し、オリゴヒスチジンを介して人工基材上に固定した。そのさい、オリゴヒスチジンとキレート結合の形成が可能なNiイオンを予め基材上に固定し、その表面にキメラプロテインを固定した。キメラプロテイン固定化表面のキャラクタリゼーションには、高感度赤外分光分析法、X線光電子分光分析法、表面プラズモン共鳴分析法を用いた。このようにして得られた基材表面で神経幹細胞の分化アッセイを行った。アッセイには、ミクロパターン化アルカンチオール自己組織化単分子膜を利用する細胞アレイ法を採用した。その結果、固定されたEGFの効果により、神経幹細胞は未分化性を高く維持しながら盛んに増殖することが示された。さらに、基材のベースとなる自己組織化単分子膜にオリゴエチレングリコールをもつアルカンチオール誘導体を混在させることでキメラプロテインの非特異的な吸着が抑制され、固定化EGFの効果を更に引き出すことに成功した。一方、ECMに対する結合ドメインを融合したEGFおよびciliary neurotrophic factor (CNTF)も調製し、それらをECMのコーティングされた基材に結合させた。このような人工基材表面では細胞の接着性が大幅に亢進するため、人工ニッシェとしてさらに高い性能を有しているとの予備的な知見を得た。
|