2005 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質ナノ構造体の構築と細胞対話型薬物キャリアへの応用
Project/Area Number |
17650140
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村田 正治 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (30304744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 佳樹 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (70284528)
橋爪 誠 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (90198664)
|
Keywords | ドラッグデリバリー / ナノテクノロジー / 組み換えタンパク質 |
Research Abstract |
標的細胞への的確な薬物輸送(ドラッグデリバリーシステム,DDS)は、副作用の低減と投与量の減少を通じて従来の医療に大きな改善をもたらす。本研究では古細菌に由来するsmall heat shock protein (Mj285)を用いてナノサイズの球状構造体を構築し、これを疾病に由来する細胞内シグナルの変化によって崩壊させるシステムをつくる。このユニークな材料と新しいコンセプトに基づくターゲッティングにより、薬物療法における治療効果の向上と患者のQOL改善を目指している。 本年度は分子生物学的手法を駆使することによって組み換えMj285(rHSP16.5)を作成した。大腸菌から大量発現したrHSP16.5はイオン交換クロマトグラフィー、さらにゲル浸透クロマトグラフィーによって精製した。動的光散乱法(DLS)によってrHSP16.5が作り出す分子集合体の粒径を測定したところ、約15nmの完全に単分散の粒子を形成していることが確認された。このナノ構造体は内孔径10nmの空孔を有するため、そこに薬物や遺伝子を内包させることが可能である。次にこのタンパク質の細胞毒性をヒト肝癌細胞であるHepG2を用いて評価した。この結果、2.0mg/mlという高濃度でHepG2細胞に対し24時間投与しても、全く毒性を示さず、ナノカプセルは生体適合性が高いことがわかった。これらの結果から、タンパク質ナノ構造体は、DDSにおけるキャリアとして有効であることがわかった。
|
Research Products
(2 results)