2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17650141
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 隆 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 助教授 (80270883)
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Keywords | ナノバイオ / マイクロ流体デバイス / 酵素センサ / 神経伝達物質 / ナノポーラス材料 |
Research Abstract |
培養神経細胞が放出するグルタミン酸をナノホールより取り込み、ナノホール直下のマイクロ流路中での酵素反応を利用してグルタミン酸の濃度を計測することが可能な酵素センサデバイスに関して、以下のような製作方法の改善とグルタミン酸滴下実験による特性評価を行った。 本デバイスの構造上の特徴はナノホール内に形成した白金黒膜にあるが、デバイス毎にこの白金黒膜の膜厚や微細構造が異なると、グルタミン酸の膜透過性や過酸化水素(酵素反応による生成物)との電子授受を行う電極表面積にばらつきが生じるため、デバイス毎に特性が異なってしまう。当初はビーカー内で撹拌しながら直流メッキ法により白金黒膜の成膜を行ったが、デバイス表面近傍におけるメッキ液の流速などの条件がメッキ工程毎に異なるため、応答電流値がデバイス毎に異なる結果となり、また膜の剥離などの問題も頻発した。そこで、白金黒膜を再現性よく形成するために、以下の2つの方法を試みた。一つ目は、マイクロ流路中の一定流速中で直流メッキを行うものであり、幅500μmで深さ100μmのPDMS製流路中で比較的再現性の良い白金黒膜を形成することができた。二つ目は、パルスメッキ法を呼ばれる手法であり、パルス状に変化する電圧を印加することにより、メッキに伴い電極界面で低下する金属イオン濃度をパルス休止時間(電圧ゼロの時間)に回復させることを狙ったものである。これにより、マイクロ流路を用いた場合よりもさらに再現性のよい白金黒膜を形成することが可能となった。 以上の成膜技術により製作したデバイスのマイクロ流路内に50 unit/mlのグルタミン酸酸化酵素を貯留し、培養チャンバに0.15〜10mMの様々な濃度のグルタミン酸溶液を滴下し応答電流を計測した。その結果、グルタミン酸濃度と応答電流値の間にきれいな線形関係が得られた。
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