2005 Fiscal Year Annual Research Report
力学的刺激による毛細血管3次元ネットワーク形成の促進と再生医療への応用
Project/Area Number |
17650144
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 満里子 慶應義塾大学, 名誉教授 (00051368)
梅澤 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70114402)
須藤 亮 慶應義塾大学, 理工学研究科, 助手 (20407141)
工藤 奨 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (70306926)
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Keywords | 内皮細胞 / 毛細血管 / バイオメカニクス / 再生医療 / 血管新生 / 基質 / コラーゲン / 足場構造 |
Research Abstract |
再生臓器の実現を目的にして、主要臓器の細胞を基にして組織再構築の手法が開発されている。細胞の3次元組織形成が実現すると、細胞への酸素供給のための血管ネットワークが必要となり、特に3次元細胞組織中に深く侵入するような3次元のネットワーク形成が必要である。一方、血管ネットワークの形成は、血管新生の領域でも関心の高いテーマであり、研究が進んでいるが、2次元ネットワークの研究が中心で、3次元ネットワークの研究は少ない。最近、研究代表者らは、内皮細胞層にせん断応力の刺激を与えることにより、3次元ネットワーク形成が促進されるという結果を得て、American Journal of Physiologyに論文が掲載されている。そこで、本研究では、3次元的に血管ネットワークが深く侵入する力学的刺激の最適条件、さらに内皮前駆細胞を用いた場合や、増殖因子(bFGF,VEGF)、低酸素による増殖誘導によるネットワーク形成の環境要因を明らかにすることを、目的とする。17年度では、基質の力学的性質が毛細血管ネットワークに及ぼす影響を調べた。2mmのコラーゲン層の上に内皮細胞を播種し、コンフルエント状になった後、コラーゲン内に毛細血管ネットワークが侵入した。コラーゲンはpHの大きさで弾性係数が変わるため、pHを5から10まで変えて、コラーゲンの硬さを変えて毛細血管ネットワークを侵入させてみたところ、コラーゲンの硬さに応じて毛細血管ネットワークの分布が異なることが分かった。pH=5から10に変化すると弾性係数は4倍になった。さらに毛細血管ネットワークは、硬いコラーゲンの方が深く浸透することが分かった。即ち、細胞の足場構造の硬さを細胞が認識してネットワークの分布を変えるので、足場構造の力学的性質が極めて重要であることが明らかとなった。
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