2005 Fiscal Year Annual Research Report
青色および紫色発光ダイオードの吸光度差による硬組織内血流の酸素飽和度測定法の開発
Project/Area Number |
17650148
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
三輪 全三 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (30157705)
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Keywords | 透過型光電脈波法 / 発光ダイオード / 歯髄血流測定 / 非侵襲的測定法 |
Research Abstract |
ヒト歯髄血流を非侵襲的に測定し歯髄のViabilityを客観的に評価する方法として、透過光電脈波法(Transmitted-Light Plethysmography;TLP)による定量的診断法の開発を目指し、歯質への光透過特性、および歯髄腔内の血液の有無による透過光減衰度の変化を計測し、歯髄内ヘモグロビン量の予測方法を検討した。 実験方法として歯髄腔内を生理食塩水で満たした虚血歯、ヒト血液を注入した健全歯モデルの2種類について透過光量の変化を試作装置で測定した。歯の光学的モデルはエナメル質、象牙質、そして歯髄腔の3層組織モデルとし、透過光の解析にはModified Beer-Lambert(MBL)則を適用した。MBL則によると、透過光減衰度はそれぞれの組織層における光の吸収・散乱の和として表すことができる。 透過光をMBL則により解析した結果、歯髄腔内に生理食塩水を充満させたときの透過光減衰度はLED中心波長が短くなるほど大きくなり、さらに歯髄腔内の血液により透過光減衰度スペクトラは4波長において増加の方向へ移動した。このとき467(青)、506(青緑)、522nm(緑)において、全血と溶血させた血液の透過光減衰度に有意差が見られなかったことから、赤血球による散乱の影響は少なく、歯髄腔内血液による光減衰はヘモグロビン(Hb)による光減衰が主体であると考えられる。 このことからMBL則により予測されたように、光学的には歯質による光散乱と歯髄腔内血液のHbによる光吸収を積算することで、全体の減衰が表せると考えられる。我々が使用した506および522nmの波長はHbの酸素飽和度の影響を受けなく、また歯質による光散乱もほぼ等しいので、これを利用することで、エナメル質や象牙質による光の散乱による影響を除去し、歯髄腔内の血液量またはHb量を定量測定できると考えられる。 本研究により歯質での光透過特性や歯髄腔に血液が存在する時の光吸収特性が明らかになり、歯髄血液の微小循環を定量測定できる可能性が示唆されたため、「歯髄内血液濃度・中流量測定方法および装置」の名称で2005年12月に特許出願を行った。
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