Research Abstract |
1.試行テスト 脳血流の測定部位を確定し,測定方法に習熟するための試行を行った. 被験者は4名の健常成人男性とし,測定機材として,頭皮上から近赤外線を発光し,脳活動に伴って脳表層に生じる脳血流変化をリアルタイムで計測できる「光トポグラフィ装置OMM2001(島津製)」を使用,測定部位は,前頭葉の中でも特に意欲や意思決定に重要な司令塔である「前頭前野」をターゲット領域とする方針を決定して,以下の予備試験に備えた. 2.予備試験(タスク設定と脳血流測定) 脳血流測定における試行課題(タスク)として,次年度の本試験では複数の多様な運動コンテンツを用いる予定であるが,予備試験では,業務用ゲーム機(ナムコ社製ワニワニパニック)と,計算ドリル(公文式)の2種に限定して,健常男性4名で繰り返し試行し,前頭前野が最も活性化されるよう,測定条件を絞り込み,最滴化した.最終的には,60〜70秒間のタスクを,前後の閉眼安静20〜30秒間で挟み込むパターンで方法論を統一して,条件設定を完了した. 3.中間結果 タスク実施中には,何れの被験者においても「前頭葉の酸素化ヘモグロビンの増加」が認められ,中にはゲーム実施中に,計算ドリルの3倍ほどの脳血流増加が認められたケースもあった.しかし,被験者の嗜好性によってデータには著しいバラツキが認められ,個体差の処理が課題として残った. また,測定中の身体拘束が30分間を過ぎる頃より,血流波高そのものが徐々に低下傾向を示し,60分間が測定時間の限界であると結論された. 4.本試験の計画策定(次年度へ向けて) 上記の知見にもとづいて,被験者の個体差や経時的疲労に配慮した方法論を決定し,次年度の本試験で使用する. タスクの候補としては,業務用や家庭用の各種ゲーム,計算や音読等の学習療法,筋力トレーニングや自転車エルゴメータなどの運動療法等を予定している.
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