2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能および身体機能の活性化における「ゲーム機リハビリ」の有用性
Project/Area Number |
17650165
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高杉 紳一郎 九州大学, 大学病院, 助手 (40253447)
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Keywords | 介護予防 / 身体機能 / 脳機能 / ゲーム機 / 動機づけ |
Research Abstract |
【目的】 高齢者に対して単調で苦痛を伴うトレーニングを強要しても,運動の長期継続には大きな困難を伴う.むしろ運動自体を自発的に楽しみながら,結果として機能向上が果たせるプログラムを提供するべきであると考えて,新たに開発したゲーム機を用いて,ゲーム実施が心身機能に及ぼす影響について調査研究を行った. 【方法】 1.脳機能測定:前頭葉に生じる血流変化を,近赤外分光法NIRS(島津製OMM-2001)を用いて,無侵襲的に計測した. 2.筋機能測定:表面筋電計(NORAXON製MYOSYSTEM)を用いて下肢・体幹筋群(前脛骨筋,腓腹筋,大腿四頭筋,ハムストリング,中殿筋,腹直筋,脊柱起立筋)の筋活動を定量的に測定し,積分処理(iEMG)を行って比較検討した. 被験者として健常成人男性7名(平均年齢38.8歳)に対して,1)既存の業務用ゲーム機:W(ナムコ社製ワニ叩きゲーム),(2)新開発ゲーム機:H(へび退治ゲーム),3)筋力トレーニングマシン:M(膝関節屈伸,レッグエクステンション)を指示タスクとして,比較検討した. 【結果】 前頭葉における脳血流では,個体差が大きいながらも,HとWがほぼ同等の著明な活性化を示したが,Mでは殆ど活性化を認めなかった. 下肢の表面筋電図では,大腿四頭筋を除く7部位の筋活動でHが最も大きな活動を示し,iEMGではいずれも50〜95%MVCであり,速筋の動員が認められた.大腿四頭筋ではMとHがほぼ同等であった. 以上より,新開発ゲーム機は,前頭葉機能の活性化と,下肢や体幹の筋活動促進という本研究の初期目標を2点とも達成することが確認できた. 【考察】 今後は,新開発マシンを用いて高齢者を対象とした研究に進み,世代を超えて楽しみながら心身機能の向上が果たせるプログラムを増やしてゆきたい.
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