2005 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷者の歩行再建のためのトレッドミル歩行評価指標と訓練法の開発
Project/Area Number |
17650169
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
藤野 宏紀 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (20387723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 千賀子 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (20351059)
才藤 栄一 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50162186)
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Keywords | 脊髄損傷 / 歩行再建 / トレッドミル歩行訓練 / 歩行分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は脊髄損傷者の歩行再建を精緻化するために,トレッドミル(TM)歩行の特徴を明確化し訓練指標を作成することである.本年度は3名の脊髄損傷者について懸垂機構付TMを使用した歩行訓練を行った.対象患者はいずれも第5頸髄節残存の中心性頸髄損傷者で1名が慢性期,2名が急性期であった.Case1は58歳女性で発症後期間1年8ヶ月.20日間の入院期間にTM歩行訓練を中心としたリハビリを行った.TM訓練は歩行速度は1.5-2km/hで3-5分×1-2セットを週6日行った.訓練開始時と終了時の10m平地歩行では所要時間が29から25秒となり歩行率が66.2から79.2steps/minへ変化した.Case2,3は48歳と57歳の男性で発症後期間17日と13日.TM訓練は歩行速度は各々1.5-3km/hと1.2-3km/hで1日3-5分×2-3セットを週6日行った.訓練開始時と終了時の10m平地歩行では所要時間は各々149から7秒と37から10秒であり,歩幅,歩行率の著明な改善が認められた.三者ともTM訓練開始時は体重あたり10-20%程度の懸垂を行ったが終了時には懸垂なしとなった.一般に上肢に重度の障害をもつ中心性頸髄損傷では歩行訓練時に歩行器や杖の使用が困難であり訓練の阻害因子となる.そのような理由からも頸髄損傷者に対する懸垂機構付TM歩行訓練は有用と考えられ今回の研究でも充分な効果を得た.脊髄損傷者のTM歩行訓練を行っていく上では歩行速度,訓練時間,回数,懸垂カの調整が必要となる.加えて下肢装具の積極的な使用や歩行阻害因子となる下肢痙性に対するモーターポイントブロック,筋緊張亢進に対してのリラクセーションや必要に応じた経口筋弛緩剤の使用といった総合的医学管理が最も重要である.医師はどの治療をどのタイミングで選択することが最適かを判断する必要があり,その為に我々は既に開発しているTM総合歩行分析の手法を用い,脊髄損傷者の歩行をより細密に評価できるよう研究を継続している.
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