2005 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者の情報アクセシビリティを補償したセキュリティ技術に関する研究
Project/Area Number |
17650174
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
小野 束 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (20091829)
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Keywords | アクセシビリティ / セキュリティ / アクセス制御 / デジタルデバイド |
Research Abstract |
近年、情報保護のため最新のセキュリティ技術がインターネットやコンピュータに導入されるようになった。一方、これまで視覚障害者の情報アクセシビリティを向上させるため様々な補償技術が研究されてきた。画面表示文字を音声化するスクリーンリーダは代表例であろう。ところがセキュリティ技術はコンピュータシステムと情報資産を安全に保つ必須の最優先課題である。したがってアクセシビリティより不要なアクセスを制御するという考え方である。アクセス制御は利用を制御するという性質から逆に従来の情報補償的なことを最低限にする。したがって視覚障害者がコンピュータシステムをまったく利用できないことも想定される。アクセス制御の代表としては特殊なパスワード、生体認証、無線IDなどである。本研究ではパスワード入力によるアクセス制御について重点的に研究を行った。なかでも、スパム、フィッシングやパスワード盗聴対策として最有力とされるCAPTCHAという画像認証方法について、視覚障害者のアクセシビリティへの影響を実験的に評価した。この方式の導入は既に弱視、全盲いずれの者に対しても大きなデジタルデバイドとなっていることが明らかとなった。同様の技術はWbbメール、ネットバンク、ネット上の各種の申し込みなど、多数導入されていた。ほとんどの例では画像パスワードに対して音声による情報補償が考慮されていなかった。音声化がセキュリティレベル低下を招くことも一因とおもわれる。また、視覚障害者の中には経験的に利用を諦めている実態も判明した。今後、個人情報保護法対策としてバイオメトリックスなどのセキュリティ技術は一層重要視される。本研究では引き続きバイオメトリックスや無線IDなどによるアクセス制御の影響を評価し、アクセシビリティを考慮したセキュリティ技術について検討を行う予定である。
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