2005 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期の言語発達に及ぼす模倣運動の影響とその脳内メカニズム
Project/Area Number |
17650176
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大森 肇 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (20223969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 聖修 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (10147126)
鞠子 佳香 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 準研究員 (60375475)
後藤 邦夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30215488)
加我 牧子 国立精神・神経センター, 武蔵病院・知的障害部, 部長 (20142250)
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Keywords | 言語発達 / 模倣運動 / 光トポグラフィ / 脳活性部位 / 幼児期 |
Research Abstract |
ブローカ野(ブロードマン44・45野)が障害されると,非流暢性発語,構音障害,失文法などの言語障害が起きる.興味深いことに,ブローカ野が観察や模倣運動など言語表出以外の行動によっても活動することが近年明らかにされ始めた.Decety et al.(1997)は動作観察や模倣運動中に45野が活動することをポジトロン断層法を用いて確認した.また,Nishitani and Hari(2000)は単なる観察よりも模倣運動中の方がブローカ野が著明に活動することを脳磁図により示している.脳には機能発達の著しい感受性期が存在し(Lenneberg,1967),その時期の外部刺激が脳の機能発達に大きく影響する(von Noorden and Maumenee,1968)ことから,言語発達の感受性期における模倣運動によるブローカ野への刺激が言語表出の発達を促進させる可能性が考えられた.そこで本研究では,「言語発達の感受性期における慢性的模倣運動刺激が幼児の言語表出の発達を促進する」という仮説を検証することとした. 平成17年度は,より広範な運動形態での測定に適応する光トポグラフィを用いて,「成人における急性模倣運動がブローカ野の活性化に及ぼす影響」を検討することを課題とした.健康な成人男性5名に会話タスク(Sakatani et al.(1998)の方法に基づく約5分間の質疑応答)と模倣タスク(上肢のみによる12種類の模倣動作)を行わせ,ブローカ野を中心とした領域における血液動態を比較検討した結果,会話タスクと模倣タスクにおいて共通する領域に反応が認められることがわかった.また,その領域が10-10電極配置法におけるFC5(ブローカ野にあたる位置)を含んだ領域であることから,会話タスク時だけでなく模倣タスク時にもブローカ野が活性化したものと推察された.
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