2005 Fiscal Year Annual Research Report
被虐待経験をもつ児童養護施設児に対するアウトドア体験療法プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
17650178
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 国広 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 助手 (10212838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 和至 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (50236353)
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Keywords | 被虐待経験 / 児童養護施設児 / アウトドア体験プログラム / 徒歩旅行 / メンタルヘルス / 自己成長性 / 活動体験の自己評価 |
Research Abstract |
【目的】夏休み中に実施されたA児童養護施設の徒歩旅行が、被虐待経験児を含む中学生女子参加者の心理的側面に及ぼす影響を検討し、アウトドア体験療法プログラムの開発・評価に向けての基礎データを収集することである。 【プログラム】2週間の徒歩旅行の概要は、最初の11日間がテント泊を基本として自然豊かな田舎道や地方都市を約250km歩き通す活動で、1グループあたり児童7名・スタッフ2名の9名が3班に分かれて活動し、最後に全体が合流して文化施設を見学する構成だった。 【方法】徒歩旅行参加群に対し、一般中学生女子をコントロール群として設定し、メンタルヘルスと自己成長性ついてプリ・ポストテストデザインで計4回データを収集した。また参加群には、徒歩旅行終了後に活動体験の自己評価を求めた。 【結果と考察】まず参加群の徒歩旅行前後での変化について述べる。メンタルヘルスに関しては、尺度を構成するストレス度と生きがい度の2因子のうち、ストレス度を減少させる効果があり、特に心理的ストレス、身体的ストレスに変化が見られた。自己成長性については、変動を見い出せず影響は確認できなかった。一方で活動体験の自己評価は、組織キャンプ体験における標準得点と比べると、全般的にやや低い傾向だが、他者協力体験、自己開示体験、自己注目体験の下位因子が比較的高い得点であり、徒歩旅行の体験療法プログラムとしての可能性が示唆された。次に参加群とコントロール群の比較について述べる。メンタルヘルスのストレス度に関しては、すべての調査時期で参加群が高く、逆に「生きがい度」は低いことから、施設児の精神的健康度が一般児と比べて低いことが確認された。同様に自己成長性についても、すべての調査時期で参加群がコントロール群よりも低く、施設児の自己イメージの低さが認められた。今後は、プログラム開発に向けて事例や個人差についての検討を進めていく予定である。
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