2006 Fiscal Year Annual Research Report
被虐待経験をもつ児童養護施設児に対するアウトドア体験療法プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
17650178
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 国広 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 助手 (10212838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 和至 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (50236353)
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Keywords | 被虐待経験 / 児童養護施設児 / アウトドア体験プログラム / 百名山登山 / プロジェクトアドベンチャー / メンタルヘルス / 自己成長性 / 活動体験の自己評価 |
Research Abstract |
【目的】夏休み中に実施されたA児童養護施設の「百名山登山」が、被虐待経験児を含む中・高校生男子参加者の心理的側面に及ぽす影響を検討し、アウトドア体験療法プログラムの開発・評価に向けての基礎データを収集することである。 【プログラム】百名山登山の概要は、海岸をスタート地点として、自然豊かな田舎道や地方都市を経て日本百名山に登り、スタート地点とは異なる海岸を目指す活動であり、テント泊を基本としながら、2週間かけて約170〜250kmをザックを背負って歩き通すものであった。1グループの構成は、児童6〜7名・スタッフ2名であり、13名の児童が2班に分かれて別々のルートに挑んだ。活動の初日には、チーム作りを意図したプロジェクトアドベンチャー(PA)の手法による体験学習を実施し、メインプログラムの3ヶ月後にフォローアップとして、再びPA体験の機会を設けた。 【方法】メンタルヘルスと自己成長性ついてプリ・ポストテストデザインで計4回データを収集した。また、百名山登山終了後に活動体験の自己評価を求めた。 【結果と考察】まず百名山登山前後でのデータ変化について述べる。メンタルヘルスに関しては、ストレス度と生きがい度の2因子のうち、ストレス度(特に心理的ストレス)を減少させ、生きがい度を高める傾向があった。また自己成長性に関しては高まる傾向が見られ、4因子のうち他者のまなざしの意識、努力主義で変化がみられた。次に活動体験の自己評価は、組織キャンプ体験における標準得点と比べると、自然との触れあい体験、自己注目体験で高かったが、他の3因子は得点が低く、また個人差が大きいことがわかった。登山の前後で実施したPAプログラムについては、参加者から非常に高い評価が得られ、施設指導員にも概ね好評であったが、特に前日実施したPA体験がメインプログラムと上手く連動していない等の問題点も残り、今後の課題となった。
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