Research Abstract |
本研究は,我が国に適したスポーツ動作の改善法(以下,Qualitative Analysis法,QA法と呼ぶ)の開発を試み,QA法研究の起点を形成することを目的としている. 初年度(平成17年度)には,アメリカにおけるQA法に関する研究動向や実態調査,QAに適した支援装置の選択,QA法で用いる動作画像のVTR撮影や収集などを目的とした. アメリカにおけるQA法に関する研究動向調査では,2005年7月28日〜30日,Qualitative Analysis of Human Movement(D.V.Knudson, C.S.Morrison, Human Kinetics,2002)の著者の一人である,Knudson博士(教授,カリフォルニア大学チコ分校)を訪問し,情報の収集および交換を行った.チコ分校では,実際に博士がQAの講義で用いている教材やVTR画像を提示してもらい,QAの実際について詳細な説明を受けた.また,わが国および研究代表者のQAに関する考え方などについて討論し,QAに関する研究情報や文献を交換した. その結果,QAは教員志望者にとっては身につけるべき重要なスキルと考えられていること,QAでは運動の観察,問題点の評価と原因究明,練習手段の提示,指導の実施などの手順をとるが,現在,アメリカでは選手や学習者の運動を正しく観察すること,運動観察のためのチェックリストの作成,観察の再現性などに重点がおかれていることなどが分かった.しかし,選手や学習者の問題点の評価やパフォーマンスの制限要因の究明に関する原則や手順などについてはまだ十分でないと考えられた.さらに,博士の著書の翻訳が許可されたことから,QA法がわが国でもさらに知られるようになるであろう. さらに,来年度からQA法の試案作成に用いる動作の画像収集,動作の評価診断を支援するためのソフトウエヤなどの検討を行なった.
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