2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳で働く,運動欲求に関連した遺伝子・タンンク探索システムの開発
Project/Area Number |
17650188
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
征矢 英昭 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (50221346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 和雄 財団法人国際科学振興財団, バイオ研究所, 所長 (70110517)
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Keywords | 自発運動 / 運動欲求 / 高活動と低活動 / 遺伝子発現 / 脳幹 / FDD法 / ラット / 抑うつ |
Research Abstract |
ヒトや動物においてみられる内発的な運動欲求には個体差があり,動物では自発運動量の大きな個体差として現れる.この理由は不明だが,我々は,脳内の特定遺伝子の発現(ON/OFF)あるいは,それにより生成されるホルモンの作用に起因するのでは,という作業仮を立て,それを検証すると共に,実際にそうした遺伝子・タンパクを探索できる動物モデルを開発することを目的とした.具体的には,雄ラットで明らかに異なる活動量を示す高活動群(HA)と低活動群(LA)とを3週間の輪回し走運動テストで選び出し,それらのラットの脳を摘出,大脳,海馬,中脳,視床下部,脳幹と5つの部位に分け,部位別の総mRNAを抽出する.抽出したmRNAをFDD(蛍光differential display)法(日立ライフサイエンス社と共同)で分析し,既知,未知の遺伝子を解析する。今回は,うつ病の発症,脳の覚醒,抗重力筋のトヌス維持などに関与する脳幹部を主に調べる.とりわけ,既知の遺伝子の中で,うつ病の発症に関与する遺伝子群を探索した.脳幹からは既知遺伝子が56個、未知遺伝子が3個、機能未知遺伝子が51個みつかった。未知遺伝子については更なる解析が必要であり、現在その解析を進めている。既知遺伝子の解析は終了した。中でも興味深いのは、低活動群の脳幹において、抗うつ薬投与に応じて前頭部で発現する遺伝子ADRG123や睡眠誘発に関連したprostaglandin D合成酵素の遺伝子発現が増加したことである。詳細な機能は今後の課題だが、こうした遺伝子発現のon-offはラットのもつ低活動性に何らかの関係がある可能性が示唆される。また、アルツハイマーの原因遺伝子関連や神経可塑性に関与する遺伝子発現の低下もみられた。現在、いくつかの遺伝子について定量するためにリアルタイムPCRを確立し、輪回し活動の高いラットと低いラットでどうなるか検証中である。
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