Research Abstract |
本研究は,相対的に短時間での跳躍能力に優れる者と長時間での跳躍能力に優れる者とに分化する時期,およびそれに影響を及ぼす下肢の形態的,機能的特性を明らかにすることを目的とした. まず,6歳から18歳までの男子1137名を対象にして,その場連続5回跳躍(5RJ:短時間での跳躍)と垂直跳び(CMJ:長時間での跳躍)を行わせ,それぞれのパフォーマンスをRJindex(跳躍高を接地時間で除した値)とCMJh(跳躍高)を用いて評価した.その結果,RJindexとCMJhとの間の決定係数は0.585であり,同じCMJhであってもRJindexが高い者と低い者とが存在し,そのばらつきは,9歳から13歳あたりで大きくなることが明らかになった.このことから,相対的に短時間での跳躍能力に優れる者(RJ型)と長時間での跳躍能力に優れる者(CMJ型)とに分化する時期は,発育スパート開始時期と重なる可能性のあることが示唆された. 次に,跳躍能力(RJ型,CMJ型)の分化に影響を及ぼす下肢の形態的,機能的特性を検討するために,10歳から17歳までの男子91名を対象にして,5RJおよびCMJのパフォーマンス,下肢の形態(下肢長,下腿長,周囲径,アキレス腱長など),および等速性筋力(膝関節:0,60,180deg/s,足関節:0,30,60deg/s)を計測した.その結果,下肢の形態についてはRJ型とCMJ型との間に顕著な差は認められず,等速性筋力については16歳から17歳の足関節底屈筋力(30,60deg/s)においてRJ型がCMJ型と比較して有意に高値を示した.このことから,跳躍能力の分化に対して,15歳あたりまでは下肢の形態的,機能的特性は大きく影響せず,それ以降では下肢の筋力,特に足関節の筋力の大きさが影響していることが示唆された.
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