2006 Fiscal Year Annual Research Report
下肢スポーツ障害における骨盤アライメント(alignment)の影響の評価
Project/Area Number |
17650196
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
中嶋 耕平 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ医学研究部, 研究員 (50292925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 尚志 (独)国立病院機構相模原病院, 臨床研究センター病態総合研究部, 研究部長 (10251258)
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Keywords | アライメント / 下肢 / 三次元動作解析 / 歩行解析 / 外側楔状足底挿板 / アーチサポート / 距骨下関節 / 膝関節 |
Research Abstract |
本年度は昨年度の研究結果を受けて対象競技をダンス競技に絞り、代表的な下肢スポーツ障害である陳旧性足関節捻挫に起因する足関節不安定性の歩容動態特性、及び足底挿板の介入による下肢の運動学的アライメントの変化を知ることを目的として検討を行った。【対象】大学生および大学院生の女子ダンス競技者8名(平均年齢:22.1歳)を対象とした。また、このうち足関節捻挫の既往を有し、かつ徒手的およびX線評価にて足関節不安定性を呈したもの3名を下肢障害群(1群)と健常群(H群)5名とに分けて検討した。【方法】各被験者に対し、3種類の足底挿板1)平坦型足底挿板(Flat)、2)外側模状足底挿板(LW)、3)LW+アーチサポート足底挿板(LWAS)を装用した状態での通常歩行を3次元動作解析装置(VICON)にて計測、a)鉛直成分床反力、b)膝関節内反モーメント、c)距骨下関節外反モーメント、d)股関節外転角度、e)股関節外転モーメント、f)股関節内旋モーメントの6項目で比較を行った。検討I : Flat装用時における上記a)〜e)のI群とH群の比較。検討II:3種類の足底挿板装用による上記a)〜e)の変化の比較。【結果と考察】検討I : Flat装用時におけるI群とH群との比較で統計学的に有意差の見られた項目は、a)鉛直成分の床反力(I<H)、b)膝関節内反モーメント(I>H)、c)距骨下関節外反モーメント(H>I)の3項目であった。検討II:一方、これらの被験者に足底挿板の介入を行うと、a)鉛直成分床反力(Flat>LW〓LWAS)、b)膝内反モーメント(Flat>LW〓LWAS)、c)距骨下関節外反モーメント(Flat<LW〓LWAS)、d)股関節外転モーメント(Flat>LW〓LWAS)で有意な変化が見られ、各々H群の値に近似する傾向が見られた。【結論】陳旧性足関節捻挫で足関節の外反不安定性を伴う症例は、将来内側型変形性膝関節症に発展する危険性が高いと考えられるが、適切な足底挿板を使用することでそのリスクを抑えられる可能性が示唆された。今回の計測では股関節に関するパラメーターでは有意な変化が確認しづらい印象があった。今後は症例数の増大と評価方法の再検討を行いながら研究を継続していく予定である。
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