2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17650202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
守山 敏樹 大阪大学, 保健センター, 教授 (30283815)
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Keywords | 血尿 / 蛋白尿 / 腹囲 / 微量アルブミン / メタボリックシンドローム / IgA腎症 |
Research Abstract |
平成18年度実施の大阪大学学生健康診断において、受診者数は15671名であった。健康診断項目は身長・体重、血圧、胸部レントゲン撮影、試験紙法による尿検査(随時尿)および問診である。一次尿検査において蛋白尿1+以上 かつ/または血尿1+以上を示した学生を二次検尿(起床時尿)対象者とした。受診者に対して、問診、血液検査(Na、 K、 C l、 Cr、 UN、 UA、 IgA、 C3、ASO、末梢血)、尿検査(尿蛋白定量、微量アルブミン、クレアチニン)、血圧、内科診察、扁桃肥大の有無、を実施し、腎生検、経過観察の判別を行った。また、本年度は対象を拡大するために、約4500名の特定業務従事者健康診断受診者も腎臓精密検査の対象とした。 平成17年度に腎生検を実施した4例はすべてIgA腎症であった。そのうち、2例は病理所見が軽度であったため経過観察としていたが、本年度の経過観察中に尿蛋白の増加を認めたため、1例は扁桃摘出+ステロイドパルス療法を実施し、もう一例も実施の方向で話し合っている。また昨年より腎生検未実施のまま経過観察を続けているもののうち1例は、アルブミン尿の増加を示しているため、腎生検実施の方向で検討中である。 青年期にチャンス血尿・蛋白尿で発見される腎炎はこれまでの報告でもIgA腎症がメインであり、本学における結果もそれに一致するものである。その診断にあたっては3回以上の検尿を必要とする。必発所見として持続的顕微鏡的血尿の存在が挙げられている。本年度、新たに精密検査は実施したのは48例であり、そのうち17例に持続的顕微鏡的血尿を認めた。そのうち2名は腎生検によりIgA腎症と診断され、もう1名については腎生検の必要性につき説明の上、今後の腎生検実施を検討中である。 これまで2年間の検討から、顕微鏡的血尿持続例について、アルブミン尿を測定することはIgA腎症の有無を判別するにあたって有用な情報を与えることが明らかとなりつつある。また合わせて実施している血清lgA、 C3検査によるIgA/C3値も参考になる。一方、蛋白尿のみ陽性の場合、肥満を合併する例は肥満関連腎症の疑いでフォローしていくことが有用であり、その場合、血圧も高い傾向があり、減量始動により蛋白尿、血圧の改善が認められている。
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