Research Abstract |
ライフスキル形成を基礎とする性にかかわる危険行動防止プログラム開発のための基礎資料を得ることを主な目的として,埼玉県川口市の某中学校の全生徒を対象として,ライフスキル及び性行動に関する実態調査を2005年5月に実施し,以下の結果を得た。 1.セルフエスティームの得点は総じて学年が進むにつれて低下する傾向にあった。また男子の得点は女子に比べて高かった。 2.喫煙,飲酒,薬物乱用行動は女子において学年差が認められ,学年とともにその割合は高くなった。 3.女子においては,性交経験のある者はない者に比べて「学習」,「家族」,「全般」,「身体」のセルフエスティームの得点が低かった。また,ストレス対処スキルに関しても,性交経験のある者はない者に比べて「サポート希求」,「気分転換」の得点が低かった。 4.女子においては,性交経験のある者はない者に比べて喫煙経験者率,月喫煙者率,月飲酒者率,薬物乱用経験者率が高かった。また,性交経験のある者はない者に比べて喫煙,飲酒,薬物乱用に対する考えも肯定的であった。 本研究の結果は, 1.思春期が進むにつれてセルフエスティームは総じて低下する一方で,特に3年女子において喫煙,飲酒,薬物乱用,性交を経験する者が多いこと 2.性交経験とセルフエスティーム,ストレス対処スキル,喫煙,飲酒,薬物乱用に関する行動や考えとの間には密接な関係があること を示しており,性行動が顕在化する前に,セルフエスティームやストレス対処スキルを始めとするライフスキルを高めることや,喫煙,飲酒,薬物乱用などの他の危険行動の防止とも関連付けながら包括的な指導をすることの重要性が示唆された。
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