2005 Fiscal Year Annual Research Report
Sarcopeniaの基準値の作成と危険因子に関する縦断疫学研究
Project/Area Number |
17650213
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
小坂井 留美 国立長寿医療センター, (研究所)・疫学研究部, 外来研究員(リサーチレジデント) (20393168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 伊都子 国立長寿医療センター, (研究所)・疫学研究部, 外来研究員(リサーチレジデント) (10393167)
下方 浩史 国立長寿医療センター, (研究所)・疫学研究部, 部長 (10226269)
安藤 富士子 国立長寿医療センター, (研究所)・疫学研究部, 室長 (90333393)
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Keywords | sarcopenia / 四肢筋量 / 筋力 / 中高年者 |
Research Abstract |
今年度は,加齢による筋肉・筋量の顕著な減少(sarcopenia)の基準値作成に向けた基礎的資料を得る目的で,中高年者を対象に身体組成を定量・評価し,基本的な身体特性および運動機能との関連を検討した. 対象は,「国立長寿医療センター・老化に関する長期縦断疫学調査;NILS-LSA」の第一次調査に参加した40-79歳の男女約2300名である.身体組成は,頭・体幹・四肢の筋量,脂肪量,骨量をDXAで測定し,四肢筋量を身長の二乗で除したASM/HT^2(appendicular skeletal muscle mass/height^2)をsarcopeniaの指標として算出した.身体特性は,喫煙歴,主観的健康度,転倒歴,Katz Index,老研式活動能力指標,および既往・現病歴として脳卒中,高血圧,心臓病など23項目を質問紙と問診から確認した.運動機能は,歩行能力,握力,膝伸展筋力,脚伸展パワー,上体起こしについて分析した. 主な結果は以下の通りである. 1.ASM/HT^2を五分位に分けた筋量の多寡と身体特性との関連 (1)男性の筋量の少ない人で喫煙習慣のある人の割合が高かった. (2)女性の筋量の少ない人で老研式活動能力指標の低い人の割合が少なかった. (3)男女ともに筋量の少ない人で胃・十二指腸潰瘍や結核・肋膜炎の既往のある人が多かった. (4)筋量の多寡と歩行速度とは二次回帰の関係を認め,筋量が多くても歩行速度は低くなる傾向を認めた. 2.筋量と脂肪量を考慮した体格評価と筋力特性との関連 筋量の少ない人で脂肪量が過多でないsarcopenic(S),脂肪量が過多であるsarcopenic obese(SO)に注目すると,特に男性においてSOは上肢や体幹の筋力がSより弱かった. 以上の結果を踏まえ,今後調査項目の追加や縦断検討を含めてsarcopeniaの基準値を作成していく.
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