2006 Fiscal Year Annual Research Report
生涯発達心理学と時間生物学の融合による定年退職後の適応支援システムの開発
Project/Area Number |
17650218
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
氏家 達夫 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (00168684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 一彦 福島大学, 理工学群共生システム理工学類, 教授 (20192726)
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Keywords | 定年退職 / 抑うつ / 生活時間 / 時間生物学 / 睡眠リズム / 活動リズム / アイデンティティ / 認知能力 |
Research Abstract |
本研究の目的は、定年退職に伴って起こる心身の不調を、定年に伴って起こる生活時間の変化との関連で捉えようとするものである。 本年度は、18年3月に定年退職した人々を対象に、第2回目(平成18年5〜6月)と3回目(平成18年6〜8月)の調査を行った。 結果として、定年後の抑うつ状態を予測する心理学的要因の効果は認められなかった。ただ、退職前から抑うつエピソードを持つ人々に、抑うつエピソードの持たない人々に比べて、定年退職後の睡眠パターンの不規則さが認められた。この結果は、定年退職というイベントが、睡眠パターンや抑うつを引き起こすというより、あらかじめ何らかの特性をもつ人々が、定年退職というイベントで睡眠パターンを崩してしまうという可能性を示唆している。この可能性は、ストレスになるようなイベントが個人の抑うつに及ぼす影響の受けやすさに、個人差があること、もしかするとそれを睡眠パターンの変調で検出できるかもしれないという仮説を導くことになると考えられ、ストレスと抑うつとの関係の新たなモデルの可能性が示されたと考えられる。ただし、本研究の結果は、サンプルサイズが十分でないため、さらに例数を増やして、結果をより頑健なものにすることが必要ではある。 本年度の研究成果は、18年8月ニューオリンズで開かれたアメリカ心理学会、18年11月に九州大学で開かれた日本心理学会、19年3月に埼玉大学で開かれた日本発達心理学会で報告した。
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