2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい鉄強化食品開発のための鉄供給源となる食品素材としての鉄含有乳酸菌の有効性
Project/Area Number |
17650231
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
稲山 貴代 首都大学東京, オープンユニバーシティ, 助教授 (50203211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 粧子 首都大学東京, オープンユニバーシティ, 教授 (40132055)
岡 純 東京家政大学, 家政学部, 教授 (30194327)
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Keywords | 栄養学 / 食品 / 生体利用効率 / 健康科学 |
Research Abstract |
【目的】鉄欠乏性貧血は発展途上国のみならず先進国においても重要な栄養課題である。鉄の強化では、形態により異なる利用効率や過剰摂取による便秘や胃腸症状などの副作用、酸化ストレス亢進の問題などを十分考慮した鉄素材を検討する必要がある。本研究ではラットを対象に、鉄塩としてクエン酸第二鉄、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム(III)(EDTA鉄)、食品として認可されているものの十分検討されていない鉄含有パン酵母および鉄含有乳酸菌を用い、鉄欠乏改善効果を検討した。 【方法】4週齢のWistar系雄ラットを鉄欠乏飼料にて3週間飼育し貧血状態を作成した後、35ppmに相当するクエン酸第二鉄(クエン酸鉄)、EDTA鉄、鉄含有パン酵母(酵母鉄)、鉄含有乳酸菌(乳酸菌鉄)を添加した4種類の飼料にて1週間飼育した。飼育開始3週間後(貧血状態の確認)と飼育終了後に解剖・採血を行い全血中のHb、Ht、血清の鉄濃度およびUIBC、SH基、GOT、GPTを測定した。データはStudentの独立したt-検定、一元配置分散分析および最小有意差法にて検定した。 【結果】血液性状からは、酵母鉄群とEDTA鉄群、次いでクエン酸鉄群において鉄欠乏改善効果が認められた。しかし、乳酸菌鉄群では改善効果が確認できなかった。EDTA鉄群は、酸化ストレスの指標である血清SH基量が対照群に比べ有意に低値を示した。鉄欠乏状態からの鉄負荷による肝機能への影響は認められなかった。本研究では乳酸菌鉄の効果を確認することはできなかったが、酵母鉄は利用効率が高い鉄強化剤として有用である可能性が示唆された。鉄含有パン酵母は食品として認可されているものの、鉄強化食品などへの応用展開は十分なされていない。今後、主に鉄含有パン酵母に焦点をあて検討することを予定している。
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