2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境にやさしい化学実験:水を利用した還元反応の開発
Project/Area Number |
17650247
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Research Institution | Miyagi National College of Technology |
Principal Investigator |
石山 純一 宮城工業高等専門学校, 総合科学系理数科, 教授 (80005529)
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Keywords | Mg, Al, Zn金属粉 / 水素製造 / 水の分解反応 / 接触還元反応 / 水の硬度測定 / 超音波還元 / クリーンエネルギー |
Research Abstract |
Mg金属粉は冷水中でも水と反応してH_2を発生することを確認した。さらに、「水素製造」の観点から、Ni^<2+>またはPd^<2+>イオンを添加したMgおよびZn金属粉による水の分解反応を検討した。また、金属Mg, Al, Zn粉と水との接触反応による水素発生量は、微量の遷移金属イオンを添加することにより加速されることが判明した。これを利用して、5-ヘキセン-2-オンの接触還元反応に応用したところ、反応条件によっては選択的に還元生成物が得られた。実験は、反応温度30℃で蒸留水90[ml]にMg, Zn金属粉0.06[mol]を入れ撹拌し、単位時間におけるH_2発生量を測定した。さらに、Ni^<2+>およびPd^<2+>イオンを塩化物として1,2および3[mmol]添加して同様の実験を行った。また、Mgと市販のミネラルウオーター11種類とのH_2発生速度を測定し、H_2発生速度と水の硬度との相関を検討した。還元反応は、還元フラスコに金属粉0.02[mol]、塩化ニッケルまたは塩化パラジウムを0.05[mmol]入れ、フラスコ内をアルゴンで置換後、脱気超純水5[ml]を加えて前還元を行い、次に基質を0.43[mmol]注入し、攪拌・超音波照射しながら1時間反応した。生成物の確認は、GC-MSによるフラグメントピークと分子イオンピークより行った。反応後の金属表面および金属組成はSEMにより観察した。Mg金属粉と水の反応によるH_2発生速度を、水の硬度測定に応用したところ、そのH_2発生速度と水の硬度間で良い相関が得られた。本方法は簡便な水の硬度測定法としても利用可能である。還元反応において、MgとNiやPdイオンの組合せでは高選択的に飽和ケトンのみを生成したが、AlとNiイオンおよびZnとPdイオンの組合せでは、基質の異性化が選択的に起こった。さらに、Znと遷移金属イオンの組合せの場合に、飽和アルコールの生成が認められた。本研究により、金属粉と水との接触より、常温において水素発生速度を制御しながら水素を製造し、その水素を接触還元反応に応用できることを明らかにした。本研究結果は、将来重要なエネルギー源として着目されている水素の製造方法および利用方法として、今後の実用化が期待される。
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