2005 Fiscal Year Annual Research Report
3次元音響バーチャルリアリティによる視覚障害児のための歩行訓練シミュレータの開発
Project/Area Number |
17650263
|
Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
大内 誠 東北福祉大学, 総合福祉学部, 助教授 (40326715)
|
Keywords | バーチャルリアリティ / 聴覚ディスプレイ / 頭部伝達関数 / HRTF / 視覚障害児 / 認知地図 / 信号処理 / 歩行訓練 |
Research Abstract |
視覚から情報を得られない盲児は認知地図(頭の中でイメージする地図)の獲得が不得意である場合が多い。そのため白杖を用いた歩行訓練が十分になされたとしても未知の目的地への移動が難しい。 本研究では,3次元音響技術を用いることによって,盲児が楽しみながら効率的に認知地図を修得でき,しかも実際に歩行する前にバーチャルリアリティ空間で仮想歩行ができる「歩行訓練シミュレータ」の研究と開発を行う。 これを実現するためには,まず高性能な聴覚ディスプレイが必要になるが,著者はすでにDigital Signal Processor(DSP)上で稼働する聴覚ディスプレイを完成させている(平成14〜16年度科研費(萌芽)14658054)。本年度は,これを汎用PC上に移植に移植する作業を行う。次に,それを用いて歩行訓練シミュレータを試作し,試用実験を行う。 1.汎用PC上で稼働する聴覚ディスプレイの開発 本研究で開発した聴覚ディスプレイは,モノラルの音源データに頭部伝達関数を畳み込むことによって正確な音源定位を実現している。3次元音声は,ヘッドホンによって提示するため,頭部の動きをセンサによって常に監視し,頭部が動いた際には瞬時に頭部伝達関数を切り替えることによって音源定位を制御している。DSPからPCに移行することによって遅れ時間の発生が懸念されたが,測定の結果,人間の検知限以下であり,十分高性能であることが判明した。 2.歩行訓練シミュレータ試作1号機の開発 新開発した聴覚ディスプレイ上で稼働する歩行訓練シミュレータを試作した。本装置は,3次元音響空間上に迷路を出現させ,その中を仮想的に歩行することによって認知地図の形成を促すものである。試作後,4名の成人盲人を被験者にして,実際に歩行訓練を実施した。その結果,2名については仮想空間内でのトレーニングにより未知の空間の認知地図が正確に形成されたことが確認された。残る2名についても,完全ではないが,部分的に認知地図の形成が確認され,本研究で試作した歩行訓練シミュレータの有効性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)