2006 Fiscal Year Annual Research Report
3次元音響バーチャルリアリティによる視覚障害児のための歩行訓練シミュレータの開発
Project/Area Number |
17650263
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
大内 誠 東北福祉大学, 総合福祉学部, 助教授 (40326715)
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Keywords | バーチャルリアリティ / 聴覚ディスプレイ / 頭部伝達関数 / HRTF / 視覚障害児 / 認知地図 / 信号処理 / 歩行訓練 |
Research Abstract |
視覚から情報を得られない盲児は認知地図(頭の中でイメージする地図)の獲得が不得意である場合が多い。そのため白杖を用いた歩行訓練が十分になされたとしても未知の目的地への移動が難しい。そこで、本研究では,3次元音響技術を用いることによって,盲児が楽しみながら効率的に認知地図を修得でき,しかも実際に歩行する前にバーチャルリアリティ空間で仮想歩行ができる「歩行訓練シミュレータ」の研究と開発を行う。 昨年度は、音のバーチャルリアリティを実現するための「聴覚ディスプレイ装置」を開発し、さらに、それを応用した「歩行訓練シミュレータ試作1号機」を開発した。これを用いて4名の全盲の被験者に対して歩行訓練を行った結果、2名についてはほぼ完全に、残る2名については部分的に認知地図の形成が確認された。 本年度は、より高い精度の認知地図を効率的に形成するために、歩行訓練:シミュレータの改良、ならびに訓練技法・評価方法の検討を以下の通り行った。 (1)22種類の基本的な歩行訓練コースを開発 (2)効果的なサウンドマーク(音の目印)の選択と音データの作成 (3)訓練技法の検討-バーチャル空間内を歩行し、部分的に認知地図が形成されたならば、その部分を触地図化することにより記憶が強固なものになる。また、空間の平面図を作成することによりサーベイ型マップ(鳥瞰図)の形成が促される。そこで、本研究では、バーチャル空間と触地図の両方を用いて訓練する技法を考案した。 (4)評価技法の検討-バーチャル空間内で形成された認知地図が正確なものかどうかを評価するためには、完成した触地図の正確さを測ることが最も客観的と言える。そこで、地図のゆがみを定量的に評価する手法を調査した。 その結果、ユークリッド回帰分析法による2次元相関係数が本研究に最も適合することが判明し、目視による主観的な評価と2次元相関係数がほぼ比例することを実験により確認した。
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Research Products
(1 results)