2007 Fiscal Year Annual Research Report
『鉄さい』を用いた考古学資料(出土鉄製品)の埋設・保存環境解析
Project/Area Number |
17650274
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 英一 Nagoya University, 博物館, 准教授 (30324403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新美 倫子 名古屋大学, 博物館, 准教授 (10262065)
武邊 勝道 松江工業専門学校, 助教 (40390489)
小田 寛貴 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 助教 (30293690)
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Keywords | 環境解析 / 酸化鉄 / 鉄酸化菌 / 鉄さい / 考古遺跡 / 文化財保存 |
Research Abstract |
本研究は、国内の遺跡から多く産出する「鉄さい」を、遺跡の埋設環境解析インディケーターとしてその腐食状態や保存状態を分析し、埋没・保存されていた(地下)環境の解析と、とくに土壌や地層の環境学的状態を推し量るための指標として用いる手法を構築することを目的として、次の3つの内容を段階的に実施している。 ●文献資料をもとにした日本各地の遺跡出土鉄製品・鉄さいの種類や分布の調査 ●出土資料の保存(腐食)状態の表面分析や成分分析調査 ●鉄製品や鉄さいが埋没している周辺の地層や土壌資料の地質・鉱物学的、地球化学的調査 平成19年度の研究成果として、これまでに行った考古学的文献調査と併せて、遺跡周辺の地質学的現地調査を行った。また現地調査と併せて、産出した「鉄さい」の化学分析などの調査を行い、地質や地形・「鉄さい」の保存状態や成分などと、どういった相関が認められるかの検討を行った。その結果、「鉄さい」は有機質な土壌で還元環境の強いところほどよく保存されていることが判明した。とくに鉄酸化と微生物との相関について、鉄濃集を形成する微生物の同定を行い、それらの化学的反応系の解析を行った。その結果、微生物は鉄を腐食させるだけでなく、腐食膜を形成することで「鉄さい」の保存にも微生物を伴う土壌中での化学反応システムの関与していることが確認された。
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