2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17650279
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Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
加藤 茂弘 兵庫県立人と自然の博物館, 自然・環境評価研究部, 主任研究員 (50301809)
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Keywords | 地磁気永年変化 / 定方位サンプリング / AMS-^<14>C年代測定 / 沖積粘土層 / 九頭竜川 / 福井県 |
Research Abstract |
福井県九頭竜川下流の沖積低地で深度13.00〜38.95mの海成・河成の沖積粘土層〜細粒砂層を対象に、改良型定方位サンプリング装置を用いた定方位サンプリング手法とオールコアボーリングを組み合わせ、95%以上の採取率で堆積物試料を採取した。定方位採取の検証のため、まず試料の肉眼観察、デジタル写真撮影、軟x線写真撮影により、薬理や層理など堆積構造の乱れを確認した。試料はサンプラー縁から1cmまでに下方への折れ曲がりが確認されたが、中央部には変形が認めらず良好な状態であった。次に定方位試料から古地磁気測定用試料610個を採取し、帯磁率と自然残留磁化を測定した後、21試料について100mTまで12段階の交流消磁を行い古地磁気方位を決定した。20mTまでの消磁で古地磁気方位が決定できることが明らかになり、残りの試料について20mTまで5段階の交流消磁を行い古地磁気の偏角と伏角を決定した。さらに7層準で木片や泥炭のAMS-^<14>C年代測定を行い、これらを較正した暦年代と深度8m付近で認定されたアカホヤテフラの降灰年代(7300年前)を用いて深度-年代曲線を作成し、各試料の堆積年代を推定した。推定した堆積年代と測定した古地磁気偏角・伏角に基づき約7300〜10400年前の地磁気永年変化曲線を復元し、それを近畿・中部日本の湖沼堆積物から得られた過去約1.1万年間の地磁気永年変化曲線と比較した。その結果約7300〜10000年前では、誤差範囲で偏角が系統的に5〜10°東偏しているものの、偏角と伏角の変動パターンは良く一致し、定方位サンプリングが良好に行われたことが検証された。一方約10000〜10400年前では、断片的なデータに変動パターンの食い違いが見られた。この原因として、試料が河成の泥炭や有機質粘土であり、磁化強度が弱く正確な古地磁気が記録されていない可能性や、比較対照とした地磁気永年変化曲線の年代軸との相違が考えられた。
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