2006 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸及び外洋性植物プランクトン鉄摂取増殖並びに生体内鉄利用機構
Project/Area Number |
17651001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久万 健志 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 教授 (30205158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯田 豊 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 助教授 (10193393)
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Keywords | 海洋生態 / 海洋科学 / 植物プランクトン / 鉄摂取 / 生体内鉄利用 / マンガン |
Research Abstract |
ある特殊な場合を除き、植物プランクトンが摂取出来る鉄の形態は溶存無機鉄イオン種と言われており、海洋植物プランクトンによる鉄摂取速度は、海水中に存在する溶存無機態鉄(Fe(III)')濃度に依存すると考えられる。また昨年度の研究において、植物プランクトンは生体内に鉄をプールする能力を有することが明らかとなった。本年度の研究では、種類の異なる珪藻について過剰にプールした鉄による増殖能力を、生体内に蓄えられた鉄量の違いによる到達最大セル数を測定することにより求めた。また以前求めたセル当たりの臨界鉄量(植物プランクトンが増殖するのに最低限必要な鉄量)とそれぞれ種類の異なる珪藻の大きさを顕微鏡で測定し、それぞれの種のセル表面積及び体積当たりの鉄摂取速度を算出した。一般的に、植物プランクトンによる微量金属摂取速度は、そのセル表面に存在する金属取込みサイトの数によって決まると考えられる。また同じ沿岸性珪藻であれば、セル表面積当りの取込みサイト数は同じと考えると、セル表面積当たりの鉄摂取速度はどの種でも同じであると推察される。しかしながら、実験結果から算出されたセル表面積当たりの鉄摂取速度は、種によって異なっていることがわかった。このことは、種によってセル表面積当りの鉄取込みサイト数が異なるか、または鉄と鉄取込みサイトとの錯体形成能力が異なることを意味している。 また最近の我々の植物プランクトン培養実験では、栄養塩及び鉄が十分量存在するにも関わらず生長が制限され、マンガン欠乏であることが示された。植物プランクトンが高い比生長速度を維持するためには、栄養塩に加え鉄とマンガンが重要であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)