2006 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアマットと地球化学的プロキシによる日本海東縁地殻変動解析の試み
Project/Area Number |
17651008
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
張 勁 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 助教授 (20301822)
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Keywords | 佐渡南西沖 / メタンハイドレート / メタン化率 / メタンプルーム / 溶存態・ガス態・ハイドレート態 / 崩壊 / 溶解 / バクテリアマット / 地球温暖化 |
Research Abstract |
日本海佐渡南西沖に位置する平均水深1000mの深海底には,バクテリアマットに覆われた多数のマウンドやポックマーク,そして海底から噴出する巨大なメタンプルームが認められている。本年度は,メタンプルーム海域を中心に,異なる季節において広域に海水と間隙水中の栄養塩・塩分・溶存酸素(DO)・塩素同位体比等マルチプルな地球化学的プロキシを手段とし,海底から放出されるメタンの実態解明を目的としている。 観測は8月に「長崎丸」NA220,9月に「なつしま」NT06-19,及び10月に「淡青丸」KT06-26にて,メタンプルーム海域及びその周辺で行った。無人潜水艇ハイパードルフィン潜航によって,バクテリアマット域付近に厚さ4〜5mの大規模メタンハイドレート(以下MH)層露頭が日本近海では初めて発見された。その周囲に堆積物で覆われた巨大なMHのブロック(A:100cm×80cm×25cmとB:15cm×15cm×25cm)を見つけ,別々に浮上観察を行った。その結果,AとBで浮上時の状態変化が異なり,大きいブロックAの破片は海洋表層に到達した。大学研究室の光学実態顕微鏡(液体窒素環境下)でMH結晶の内部構造を観察したところ,MH化率の違いがあると分かった。つまり,深海底にあるMHが何らかの原因で海底を離脱し,その結晶状況やサイズによって分解する前に海洋表層に到達し,メタンガスとして大気へ放出する可能性が示唆された。また,深層・浅層海水中の塩分・水温及び塩素・酸素同位体比等の結果と合わせて,佐渡南西沖メタンプリューム海域におけるメタンの実態は,下記のようにまとめることができる:(1)海底より離脱するメタンは溶存態・ガス態・MH微粒子の三態からなる。(2)泡状態のメタンガスは海底を離脱後,上昇すると共に海水密度低下に伴い泡が次第に膨張しながら表面にMHの微少結晶粒子が形成され,やがて海水中に溶解/消滅する。その結果,中層水中においてメタンが溶存態として巨大なプリュームを作る。(3)MH微粒子は海水中の水及び溶存メタンガスから生成されながら上昇し,温度躍層を越え浅層水で分解する。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Molecular phylogenetic and chemical analyses of the microbial mat in deep-sea cold seep sediments at the northeastern Japan Sea.2006
Author(s)
Arakawa, S., Sato, T., Sato, R., Zhang, J., Gamo, T., Tsunogai, U., Yoshida, Y., Usami, R., Kato, C.
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Journal Title
Extremophiles 10:311-319
Pages: DOI10.1007/s00792-005-0501-0.