2006 Fiscal Year Annual Research Report
温暖地球システムにおける季節変動の解明〜6千年前気候オプティマム期をモデルとして
Project/Area Number |
17651012
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
坂本 竜彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダー (90271709)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 一将 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (10359177)
坂井 三郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究員 (90359175)
飯島 耕一 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, 研究推進スタッフ (00392944)
|
Keywords | 温暖地球システム / 季節変動 / 気候オプティマム期 / 網走湖 |
Research Abstract |
本研究は,最近の温暖期である6千年前の気候オプティマム期にどのような気候変動〜とくに季節変動が存在したかを解明することを目的とした. 本研究では以下の点を実施した.網走湖において採取され,そのまま未開封で保存されていた湖底堆積物コア9801および9803に関し,(1)X線CT装置による非破壊コア内部構造の計測を行い,年代測定に有効な貝殻片などの層準を明らかにした.(2)未開封のコアを開封,押し出し,半割したあと,9801コアに関し,良好な貝殻片を厳選し,加速器質量分析計による放射性炭素の絶対年代測定を行った.測定はコンパクトAMS : NEC製1.5SDH(パレオ・ラボ)を用いた。得られた^<14>C濃度について同位体分別効果の補正を行った後、^<14>C年代、暦年代を算出した。(3)その結果,9801コアは,最下部付近において,9374±37年であることが明らかとなった.(4)半割されたコアに関し,非破壊蛍光X線コアロガーTATSCAN-F2,非破壊拡散分光コアロガーTATSCAN-S1(海洋研究開発機構)をつかって,コア表面の元素分布および拡散分光特性を明らかにした.(5)6千年前の気候オプティマム期には明瞭なラミナが発達し,珪藻を主とする明色のラミナと,粘土鉱物と有機物が季節単位で互層する暗色のラミナが,層厚4〜7mm程度のラミナセットを構成する.この点で個々のラミナは季節変化を意味する.さらに,ラミナセットの層厚は,10〜20枚程度のスーパーセットで周期的に変化する.明色ラミナの珪藻の増加は春先の降水量増加によるシリカの流入と珪藻の繁殖のイベントと推測される.今後,さらに変動要因を追求していく必要がある.
|