2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国の草原砂漠化における生態移民の効果に関する計量経済的研究
Project/Area Number |
17651020
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼木 俊次 農林水産政策研究所, 評価・食料政策部, 主任研究官 (60289345)
仙田 徹志 香川大学, 農学部, 助教授 (00325325)
衣笠 智子 神戸大学, 経済学研究科, 講師 (70324902)
|
Keywords | 生態移民 / フロンティア生産関数 / ロジットモデル / 新経済地理学モデル / 過放牧 / 草原砂漠化 / ミクロデータ / 技術的非効率性 |
Research Abstract |
中国草原地帯では,急速な農村人口の増加と共に地域の自然環境資源の乱獲や過剰な利用が行われ,特に土壌の脆弱な半乾燥地域では砂漠化など資源の退化が顕著となっている。最近のアプローチとして,砂漠化の著しい地域の農牧民に都市近郊の土地や畜舎を与え,酪農など集約的な生産を行わせ,農村部の人口を減少させるという方法が提唱されている.中国の乾燥地域の生態移民政策がまさにこの方法であるが,どのような条件で成功するのかについて明らかにしようとした。 本年度は,Krugmanらの新経済地理学モデルを中国の草原の砂漠化と生態移民の事例に適用し実証分析を試みる為に,現地調査を実施した。資本集約型の畜産施設における集積の利益が牧畜地域の人口の流出を促し,過放牧を防ぎながら所得を上げることができるかどうか調べた.具体的には,(1)農村部から畜産施設への労働移動の要因を調べる条件付きLogitモデルを推計する,(2)農村部の人口減少が残った農民一人当たり所得へ及ぼす効果を主体均衡モデルで分析する,(3)移住先の畜産施設での経済効率性を確率的(stochastic)フロンティア生産関数モデルで推定する、ことを課題としているが、これらの実証分析に必要な現地調査を行った.これらの数量分析の結果を統合し,環境と農民の所得向上を両立させるための経済的条件を抽出することを次年度の課題としている。 環境保全問題を移住問題と結びつけて,移住元の世帯と移住先の世帯を合わせた農家単位の実証分析を行うことにより,移住のインセンティブを明らかにすることができる.また,移住により生じる非効率性のため,本来得るであろう所得を得ていない場合がある.フロンティア関数モデルを推計することによって,最大限可能な所得と非効率的な部分を区別して、中国の生態移民政策に関して計量的な分析を行うためのミクロデータの収集と加工を行った。
|
Research Products
(7 results)