2005 Fiscal Year Annual Research Report
岩石に由来する安定同位体を用いた食品の産地判別法の開発
Project/Area Number |
17651023
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
中野 孝教 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (20155782)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 勝行 神戸大学, 理学部地球惑星学科, 助手 (50322201)
|
Keywords | 産地判別 / ストロンチウム同位体 / ネオジミウム同位体 / 鉛同位体 / ミネラル水 / 農産物 |
Research Abstract |
水や植物に含まれているミネラルの多くは、流域の地質に由来する。本研究は、岩石に含まれているストロンチウム(Sr)、鉛(Pb)、ネオジミウム(Nd)といった元素の安定同位体組成が、その成因の多様性を反映して地域的に大きく変化することを利用して、ミネラル水や農産物などの産地を高い確度で判別する指標と方法の確立を目的として企画されたものである。ストロンチウムについては既に分析手法を確立しているが、水や農産物に含まれている鉛やネオジミウムは微量なため、それらの安定同位体分析には試料から元素を効率よく抽出する簡便な方法が求められる。 今回レアアースについて強い分配係数をもつ樹脂を利用したイオン抽出クロマトグラフィー法を改良して、ネオジミウムを効率よく抽出する方法を確立することが出来た。いっぽう、天然水に含まれている非常に低濃度である鉛を効率よく濃縮するために、従来の強酸用のイオン交換樹脂とシュウ化水素酸を組み合わせた方法を開発した。この手法を改良することにより、ミネラル水の鉛同位体分析にメドをつけることができた。懸案であった表面電離型質量分析装置は3月に設置され、ストロンチウムについてはデータが得られ、地質環境に応じた同位体組成変化を確認しつつある。 本年度は消耗品と謝金に主な経費を充てる予定であったが、実験補助については別途予算を組むことができたこと、基礎実験に力を注いだため消耗品が少なかったこと、いっぽう申請者のコンピュータが破損すると言う事態が生じたため、パーソナルコンピュータを購入し実験手法やデータの保存を行った。本年度の研究により、水に含まれているネオジミウムと鉛について、予想以上に早く簡便な分析手法を構築できたので、18年度は実際の試料分析に力点を置いて研究を推進する。
|
-
-
[Journal Article] Sulfur and strontium isotope geochemistry of tributary rivers of Lake Biwa : implications for human impact on the decadal change of lake water quality2005
Author(s)
Nakano, T., Tayasu, I., Wada, E., Igeta, A., Hyodo, F., Miura, Y.
-
Journal Title
Science of The Total Environment v.345, Issues 1-3
Pages: 1-12
-
[Journal Article] Source and evolution of the "perfect Asian dust storm" in early April 2001 : implications of the Sr-Nd isotope ratios,2005
Author(s)
Nakano, T., Nishikawa, M., Mori, I., Shin, Kichoel, Hosono, T., Yokoo, Y.
-
Journal Title
Atmospheric Environment v.39
Pages: 5568-5575
-
-