2007 Fiscal Year Annual Research Report
岩石に由来する安定同位体を用いた食品の産地判別法の開発
Project/Area Number |
17651023
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
中野 孝教 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, 教授 (20155782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 勝行 岡山大学, 理学部地球物質研究センター, 准教授 (50322201)
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Keywords | ミネラル水 / 農産物 / 食品 / ストロンチウム同位体 / ネオジミウム同位体 / 硫黄同位体 |
Research Abstract |
食の偽表示は近年ますます顕在化し、環境問題の一つとしてクローズアップされるようになった。農水産物に含まれる様々な成分は、地域の水を通してもたらされる。水に含まれる金属元素の究極の起源は岩石にある。岩石や鉱物の安定同位体組成は地域的に変化することから、それらはミネラル水や農産物などの産地を高い確度で判別しうる指標として利用できる可能性があり、そのための方法の確立を目的として本研究は実施された。 申請書の所属する機関に設置された表面電離型質量分析装置により、数ナノグラムであっても高精度でストロンチウム(Sr)、鉛(Pb)、ネオジミウム(Nd)の同位体分析が可能となった。日本のミネラル水のSr同位体組成は大きく変化(0.7035-0.713)するが、基本的には流域の地質環境の違いで説明できる。富士山麓のミネラル水の値は特に低く、このことは同山塊が低い^<87>Sr/^<86>Srを有することと調和的であった。ミネラル水の硫黄同位体や微量成分も地域によって変化しており、その原因も主に地質に関係すると考えられるが、より詳細な検討が必要である。 農産物としてはショウガやニンニクを対象に検討した結果、中国産と日本産を地質由来の安定同位体を利用することによって、高い確度で識別できることが明らかとなった。これに対して、窒素や炭素では明瞭な違いを識別できない。このことは、両国がともに化学肥料に依存している可能性を示唆している。マルチ安定同位体と微量元素を組み合わせることにより、食品の産地を高精度で識別できる可能性がある。
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[Journal Article] Effect of agriculture on water quality of Lake Biwa tributaries,Japan.2007
Author(s)
Nakano, T., Tayasu, I., Yamda, Y., Hosono, T., Igeta, A., Hyodo, F., Ando, A., Saitoh, Y., Tanaka, T., Wada, E., Yachi, S.
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Journal Title
Science of the Total Environment 389
Pages: 132-148
Peer Reviewed
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