2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ元素で表面修飾した炭素物質による燃焼排ガス中の水銀蒸気の除去
Project/Area Number |
17651037
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大塚 康夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20091663)
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Keywords | 環境技術 / 環境対応 / 表面・界面物性 / 有害化学物質 |
Research Abstract |
石炭や都市ごみの燃焼排ガス中に含まれるppbレベルの単体水銀(Hg)は、容易に2価水銀に変化して土壌や河川を汚染し、食物連鎖により有機水銀として蓄積され、人体に悪影響を及ぼすことが懸念されている。そこで、本研究では、Hgと強い化学親和性を持つヘテロ元素(塩素や硫黄)をドープした活性炭素物質を調製して用い、おもに石炭の燃焼時に排出されるHg蒸気を化学的に安定な化合物として固定化・除去できる方法の開発原理を構築することを目的とする。 本年度は、まず、市販のダイオキシン捕集用高性能活性炭を試みるため、事前に詳細な化学分析を行ったところ、予想外にも少量の金属のみならず微量の塩素や硫黄が混入しており、本目的には合致しないことが判明した。そこで、ホームメードの活性炭を製造することとした。市販のフェノール樹脂(粒径0.3〜0.4mm)を用い、塩素・硫黄・金属が全く存在しないことを確認した後、高純度He中950℃まで加熱して炭素化した。次に、この炭素物質をHeで希釈したO_2気流中500℃まで再加熱して賦活処理を施し、活性炭(hmACと略)を作成した。BET表面積は1100m^2/gと大きく、アモルファス炭素構造を有していた。さらに、hmAC表面を塩素で修飾しその安定性を調べるため、100ppmHCl/N_2中500℃で加熱後、高純度N_2流通下で昇温脱離実験を行い、これらの過程でHCl濃度変化をオンラインで追跡した結果、hmAC表面は500℃でHClと反応し、導入塩素(Cl-hmACと略)の大部分は950℃まで再加熱しても安定な有機塩素で存在することが明らかとなり、hmAC表面の化学的塩素修飾法を確立した。現在、Cl-hmACの表面構造をX線光電子分光法で詳細に解析するとともに、Cl-hmACのHg蒸気捕集能の検討に取り組んでいる。
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