2005 Fiscal Year Annual Research Report
低環境負荷型クロマトグラフィー実現のためのディスク状担体の開発
Project/Area Number |
17651040
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐野 寛 群馬大学, 工学部, 助教授 (40162523)
|
Keywords | クロマトグラフィー / 担体 / ディスク状 / 有機溶媒 / 低環境負荷 |
Research Abstract |
本年度は有機溶媒(展開溶媒)をほとんど使わない低環境負荷型のクロマトグラフィー開発を目的とし,ディスク状担体の試作と従来型クロマトグラフィーとの機能比較を行った.ディスク状担体としては厚さ0.7mmのセルロースを円盤状に加工し,これを140枚積み重ねたものを用いた.機能評価を行う際には,これをガラスカラムに充填し,通常のカラムクロマトグラフィーと同じ操作で分離実験を行った.参照実験としてカラムクロマトグラフィー用シリカゲル(ワコーゲルC200)をカラムに同体積充填したものを用い,比較検討した.性能評価は2種類のサンプルを含んだ溶液をそれぞれの担体上部に吸着させ,これを有機溶媒により展開し,分離・溶出に要した溶媒量を比較した.サンプルとして例えばベンズアルデヒドとN-フェニルマレイミドの分離を行った場合,ディスク状担体(展開溶媒:ヘキサン)では20mlの溶媒量で完全に分離:し,N-フェニルマレイミドは11枚目から5枚目の間のディスクに保持されていた.一方,シリカゲル(展開溶媒:ベンゼン)ではN-フェニルマレイミドは溶媒量50mlから溶出し始め,完全に溶出するまでに125mlを要した.このように分離するサンプルの極性に大きな差がある場合には,ディスク状担体を用いた方が従来型クロマトグラフィーによるものよりも少ない溶媒量で分離できることが明らかとなった.サンプルを保持したディスクは,少量の極性溶媒で洗浄することにより目的のサンプルを回収することが出来ることから,トータルの使用溶媒量を比べても圧倒的に少なくてすむという利点がある.
|