2005 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質体における微生物の三次元配置と活性発現の関系
Project/Area Number |
17651045
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鮫島 玲子 静岡大学, 農学部, 助手 (00377722)
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Keywords | 硝化 / 農薬分解 / 土壌 / 団粒構造 / フェニトロチオン |
Research Abstract |
純粋培養した硝化菌の活性をもとに土壌の硝化菌数から推定した土壌の硝化活性は、実際の土壌硝化活性よりかなり低い。一方、農薬の連用により土壌の農薬分解能が高まり、農薬が無効化する現象が各国で観察された。しかし分離された微生物の農薬分解能は、土壌の分解活性を説明するには低すぎた。これらの現象の説明としてわれわれは、土壌の多孔質構造(団粒構造)における微生物の三次元配置とそこに形成される多様な微生物間の相互作用が、土壌の強力な分解活性を生み出していると考えている。 本年度は多孔質体におけ微生物の三次元配置と微生物群集の活性を検討するためのモデルとなる微生物について検討した。フェニトロチオン分解の場合、この農薬を部分的に分解する複数種の微生物が分離された。これらの代謝系と酵素、遺伝子の解析結果から、2種類の複合微生物系によりフェニトロチオンが完全分解されていると推定された。しかし液体培地中では、この複合微生物系による農薬分解は途中で止まる。このことから、培地中では再現できない土壌中の微生物の三次元配置が重要であると推察した。またアンモニアをエネルギー源とする硝化菌は、生態学の理論からアンモニアを最も効率的に利用する種が優占種となるはずだが、根粒根圏土壌および水田土壌では複数種のアンモニア酸化菌が共存していた。このことから土壌中において多様な硝化菌がそれぞれに好適な環境に配置され種の多様性と土壌の高い硝化活性を維持していると推察された。以上のように三次元配置の研究でモデルとなる微生物群を選択した。
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