2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素インプリント磁性体の表面設計と地熱発電排水処理への応用
Project/Area Number |
17651050
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
馬場 由成 宮崎大学, 工学部, 教授 (20039291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 達也 宮崎大学, 工学部, 助教授 (00343335)
大栄 薫 宮崎大学, 工学部, 助手 (00315350)
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Keywords | マグネタイト / 多孔性マグネタイト / ヒ素鋳型マグネタイト / ヒ素の除去 / 共存イオン / 地熱発電排水 / 界面活性剤 / 吸着 |
Research Abstract |
ヒ素に対して高選択を示す吸着材を開発するために,ヒ素の吸着空間(鋳型)をもったマグネタイトを合成し、ヒ素に対する吸着特性を調べた。さらに地熱発電廃水への応用を考慮し、ヒ素の吸着におよぼす共存陰イオンの影響を調べた。ヒ素鋳型マグネタイトの合成は,マグネタイトを合成する際にヒ素を任意の割合で混合し、その溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えてヒ素/マグネタイトの沈殿物を得た。沈殿物を1M-NaOHで数回洗浄・除去することによりマグネタイトから完全にヒ素を除去し,ヒ素鋳型マグネタイトを合成した。これを用いてヒ素の吸着実験を行ったところ,ヒ素鋳型効果が発現しており、鋳型なしのマグネタイトに比べて吸着速度が増加することがわかった。次に,界面活性剤のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)共存下でマグネタイトを合成し、窒素雰囲気下で350-500℃で焼成してSDBSを除き,多孔質マグネタイトを得た。450℃で焼成すると,試料はマグネタイトの結晶構造を保持したままSDBSを除去することができた。これによるヒ素の吸着実験の結果、SDBS鋳型なしのマグネタイトに比べてヒ素の飽和吸着量および吸着平衡定数が,それぞれ1.4倍および10倍であったことから、SDBSによってメソポアを有したマグネタイトが得られたことを示唆した。共存する陰イオンがヒ素,吸着に及ぼす影響を調べた。その影響はリン酸イオン>硫酸イオン>硝酸イオンの順であったが、中性領域では共存する硝酸イオンおよび硫酸イオンの影響を全く受けないことがわかった。しかし、リン酸イオンはマグネタイトに吸着されるため砒素の吸着を減少するが,共存するリン酸イオンがヒ素の100倍共存しても、ヒ素の単一溶液からの吸着の80%のヒ素が吸着されることがわかった。本研究で合成したヒ素鋳型マグネタイトおよびSDBS鋳型マグネタイトは、マグネタイト表面上に形成された鋳型効果により速い吸着速度および高い吸着容量を実現できることが明らかとなった。今後マグネタイトの表面や細孔構造の最適化を行い,地熱発電排水への応用を検討する。また,マグネタイトの砒素に対する吸着は,中性付近では共存陰イオンの影響をほとんど受けないことが明らかとなったが、共存する陽イオンの影響については今後の研究課題である。
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Research Products
(1 results)