2005 Fiscal Year Annual Research Report
産廃クラゲの医薬品原料化による付加価値創生とリサイクル促進
Project/Area Number |
17651051
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
丑田 公規 独立行政法人理化学研究所, 環境ソフトマテリアル研究ユニット, ユニットリーダー (60183018)
|
Keywords | ヒアルロン酸 / ミズクラゲ / エチゼンクラゲ / アミノ酸分析 / アミノ酸配列 / 糖タンパク質 / 細胞外マトリックス / 廃棄物処理 |
Research Abstract |
本年前半はミズクラゲを対象に有用化合物を抽出する実験を行った。塩水で抽出した後の上清にエタノールを加えて得られた沈殿を再溶解して、回収し、透析並びに凍結乾燥を用いて生成した。この化合物をイオンクロマトグラフィーで分離分析して同定を行った。その結果当初予定していたヒアルロン酸は分析されず、予想は失敗に終わった。しかし、別のピークを分取し、アミノ酸成分分析、並びにアミノ酸配列を解析したところ、高分子糖タンパク質の一つであるムチンであることがわかった。そのアミノ酸配列はVVETTAAPの8残基から成る単純繰り返しのタンデムリピート構造であり、ヒトムチンMUC5ACの8残基繰り返し(TTSTTSAP)と類似していることがわかった。また分子量も解析した。 現在、トレオニン残基に接続している糖鎖の成分分析を進めているが、Nアセチルガラクサミンならびにガラクトサミンが接続した1型コア構造は見いだされたものの、それ以降の糖鎖が不明で現在まで完全な分析に成功はしていない。 しかしながらこの化合物は、医薬品の原料、化粧品、食品添加物、抗菌剤、人工胃液などの用途が考えられ、ヒアルロン酸は見つからなかったものの、本研究の目的である有用化合物によるリサイクル促進には寄与するものと考えている。 8月以降日本海で大発生したエチゼンクラゲを採取し、現在は分析している。エチゼンクラゲからも全く同じムチンが見いだされ、その他のクラゲを含めて全く同じアミノ酸配列のムチンが含有されていることが確認された。このことは日本海で大きな漁業被害を与えているこのクラゲの廃棄並びにリサイクル促進に寄与するものと考えられる。
|