2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17651054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 公男 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (10167851)
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Keywords | メゾスコピック系 / 磁性 / ナノ材料 / 電子スピン共鳴 / ラジカル対 |
Research Abstract |
これまでの研究により予備的な知見を得ているDNA鎖内でのホール輸送機構に焦点を当てて研究を進めた。電荷輸送における距離・分子配向など点での曖昧さをなくすために、電子受容体(ホール注入分子)とDNA二重鎖がHair-pin構造で結合したDNAの合成を進めた。反応の初期過程で生成するラジカル対およびカチオンラジカル(ホール)の挙動について明らかにするために、塩基配列の異なるDNAを合成し配列の効果について検討を進めた。このために、極低温での連続波およびパルスEPR法を用いて、過渡的な常磁性種のEPR信号を観測した。 (1)塩基配列が同一であり、二重鎖長の異なる合成DNAを用いて電子移動初期過程で生成するラジカル対の時間分解EPRの解析から、不対電子間相互作用の大きさを決定した。このためには、弱い磁気的相互作用を精度良く決定する必要があったので、X-(9GHZ),Q-(34GHz)およびW-(95GHz)バンド時間分解EPR法を相補的に用いて進めた。決定された双極子-双極子相互作用テンソルおよびg-テンソルを用いて、二重鎖長に対するホール移動の距離・配向依存性を明らかにするための解析を進めた。 (2)DNA鎖中のグアニン(G)が最も深いホールのTrap-site考えられているので、G塩基と電子受容体の距離の異なるDNAについて(1)と並行して研究を進めた。G塩基の作るTrap-siteの深さを評価するために、広い温度範囲(4〜200K)に亘って観測された信号の解析を進め、G塩基を含まない(1)の結果との比較から、二重鎖内のホールの生成機構とその存在様式に対する塩基配列の寄与について明らかにする研究を進めた。
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Research Products
(6 results)