2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体の配位によるフラーレンやカーボンナノチューブなどの電子状態制御
Project/Area Number |
17651057
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
榊 茂好 京都大学, 工学研究科, 教授 (20094013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 嘉秀 京都大学, 工学研究科, 助手 (40362462)
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Keywords | 電子状態理論 / 遷移金属錯体 / フラーレン / π共役分子 / 配位結合 / 電子相関効果 / 電子状態制御 / 構造 |
Research Abstract |
フラーレンやカーボンナノチューブの電子状態は遷移金属錯体への配位により摂動を受け、それまでとは異なる状態になると期待される。それらの金属錯体の理論的研究はいくつか報告されているいるが、高精度理論計算の報告例は乏しい。本研究ではフラーレンの様々な遷移金属錯体の電子状態計算を行い、配位安定化エネルギーが密度汎関数理論では過小評価されること、正確な配位安定化エネルギーの評価にはdouble-zeta+polzarization程度以上の基底関数を用い、MP4(SDQ)法以上のpost Hartree-Fock計算を行う必要があること、少なくとも、ONIOM法で炭素原子20個以上を含む必要があること、配位は金属からフラーレンへの電荷移動によることなどを明らかにした。さらに、フラーレンの一部と見なされるコラニュレン、スマネンの遷移金属錯体の理論的研究を行い、これらの理論計算にも密度汎関数理論は適用できないこと、MP4(SDQ)以上の方法が必要であること、配位結合は金属からこれらの共役炭化水素化合物への電荷移動によることなどを明らかにした。また、配位位置についても検討を行い、安定な配位構造を明らかにした。 コラニュレンなどの共役炭化水素の末端炭素の修飾は、新しい機能化につながると期待されるが、これまで、理論的検討例はほとんどない。ここではC-H結合の活性化反応の理論的検討を行い、Pt(0),Rh(I)などによる酸化的付加による活性化は困難であること、むしろ、Pd(II)によるheterolyticな活性化が容易であることを理論的に提言した。
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