2005 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁体-金属転移の電界制御を利用した量子細線・量子ドット作製とその物性研究
Project/Area Number |
17651063
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡部 行男 九州大学, 理学研究院, 教授 (40274550)
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Keywords | ナノ構造 / 量子閉じ込め / 表面 / 2次元電子 / 分域 / 量子ドット / ナノ物性 / 強誘電体 |
Research Abstract |
量子細線や量子ドット等の、微小量子構造は、通常、大型の微細加工装置やカーボンナノチューブを利用して作製されている。しかし、作製の困難さや複雑さと費用の問題がある。また、ナノメータースケールの超微細加工では、物質または加工精度が限定され、一般的な半導体や金属での量子ナノ構造が作製されているのみである。このため、成長過程を利用した自己形成型のナノ構造の作製等が行われているが、任意の場所に任意の形状を形成することは困難である。本研究は、このような問題点を、最近発見された絶縁体の持続的導体化現象を走査プローブ顕微鏡(原子力間顕微鏡AFM)で行うことで解決することを目論む。この原理は、強誘電体表面に伝導体が接していない場合、強誘電体の自発的な分極によって、表面に薄い伝導層(厚み数nm)ができることで、、導体化した原子力間顕微鏡AFMの針に電圧を印加して、強誘電体上を任意の形状に走査すれば、その形状の部分に薄い電子層ができる。また、誘電体SrTiO_3への強制的電流印加で、金属-絶縁体転移を誘起できるため(1年以上保持を確認、電気的に可逆)、量子構造の形成に使える。但し、この場合深さ方向が厚く、深さ方向の閉じ込めはできない。今年度は、代表的強誘電体BaTiO_3の表面伝導を、10^<-10>-10^<-11>torrという超高真空うで測定可能な独自の測定システム様々な条件を変えて測定し、強誘電体分極による本質的表面伝導層が存在することを確定した。また、大気中の原子力間顕微鏡システムで、走査型圧電顕微鏡を立ち上げ、原子ステップを圧電像が同時に観察できること、また、この圧電測定でも上記の電場による電極無しの領域が分極処理できることも部分的に確認した。さらに、、走査型圧電顕微鏡を超高真空原子間力顕微鏡に組み込み、初期動作の検証に成功した(超高真空での動作は世界的にも殆ない)
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